古本虫がさまよう コンプトン・パケナムとハリー・カーンとヘレン・ミアーズとアルノード・ボルシュグラーヴと中央区立図書館に注目!?
2017 08 / 07 last month≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09 next month









コンプトン・パケナムとハリー・カーンとヘレン・ミアーズとアルノード・ボルシュグラーヴと中央区立図書館に注目!?









青木冨貴子氏の『占領史追跡 ニューズウィーク東京支局長パケナム記者の諜報日記』 (新潮文庫)を読んだ。
単行本(『昭和天皇とワシントンを結んだ男』)を改題したとのこと。

この夏は、湯浅博氏の『歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一』 (文春文庫)や阿羅健一氏の『秘録・日本国防軍クーデター計画』 (講談社)といった「戦後史」や「軍人」をテーマにした面白い本を読んだが、本書もその流れの一冊(青木氏の本は、単行本を購入していたと記憶しているが、積んどくしたままだったかな。また、彼女の本には、辰巳や服部の名前は特に出てこないが)。

『ニューズウィーク』東京支局長をつとめた日本生まれの英国人コンプトン・パケナム(1893~1957)の「日記」(正確には上司ハリー・カーン宛ての「報告書」といった感じのもの)や手紙を発掘した青木冨貴子氏が、このパケナムという人物に興味を持って、そのルーツを探索していくノンフィクションでもある。英国公文書館などにあるパケナム関連資料などが、デジタル資料として送付される時代だとのこと。わざわざそのためにだけ資料館に行かなくても用事が足りるとのこと。原武史氏が「みすず」で書いている日記でも、そんな体験を書いていたっけ? 便利な世の中になってきたものだ。

学歴や出生地が誤魔化されたりもしている事実も判明。離婚を何度か経験し、最後には日本人女性をめとってもいる。日本語が堪能で、鳩山一郎や岸信介や宮内庁関係者とも親しく付き合い、そうした情報源をもとに、占領政策に関して保守派的見解による批判記事を書いたりもして、マッカーサーからも一時とはいえ、事実上の「追放」処分を受けたりもする。その後、日本に戻って再び取材活動を展開。講和問題などの交渉のために国務省のダラスが訪日すると、日本人要人との秘密接触を斡旋したりもする。

一ジャーナリストの言論活動を越えた「怪しいインテリジェンス活動」の臭いがしないでもない。何せ、略歴・学歴もかなり捏造されているのだから…。個人的事情なのか、職務的事情なのか?

本書を一読して、占領期、リベラルな視点からではあるが、それが結果として日本擁護のような見解であったことから占領軍のおぼえはよくなくて、不遇の身に置かれたヘレン・ミアーズを思いだした。

彼女の『アメリカの反省』 (文藝春秋新社)は占領期には占領軍の規制で刊行されることなく、戦後独立後すぐに刊行されたものの、当時無視され、半世紀近くたって『アメリカの鏡・日本』 (メディアファクトリー)として再評価されたものだった。彼女の思想的遍歴などについては、御厨貴氏&小塩和人氏の『忘れられた日米関係 ヘレン・ミアーズの問い』 (ちくま新書)が詳しい。その書によれば、彼女はベトナム戦争にはたしか反対していたから、リベラルな視点の持ち主であり、単純な大東亜戦争肯定論者としてアメリカを断罪するわけではむろんない。
パケナムも、当時の記事や「日記」なども刊行するとミアーズ同様、違った視点の日米論が展開されているので、知的刺激を受けそうでもある。

ところで、ハリー・カーンの息子がワシントンにいることを青木氏に教えてくれたのが、ニューズウィーク元外信部長だった「アノード・ボージュグラブ」だったということが冒頭に出てくる。
取材当時81歳の高齢(今も存命のようである)であったが、 「ワシントン・タイムズ」でコラムを執筆している辣腕であると紹介。彼は、カーンの後任で、カーンはクビになった、社内の契約記者にはCIA関係者がいて、それでいいのかとカーンに詰め寄ったら「おまえは愛国者ではないのか」と言われたそうな。

青木氏は、ここでは詳述していないが、「ワシントン・タイムズ」は、日本でいえば「世界日報」みたいな新聞。原理統一協会の文鮮明が資金を提供して、創刊された保守系新聞で、レーガン大統領が愛読したことでも知られる。
そのあたりは、戸丸広安氏の『世界最強の新聞 アメリカを動かしソ連を崩壊に導いた 知られざるワシントン・タイムズの実力』 (光言社)に詳しい。

また「アノード・ボージュグラブ」は原語に忠実な発音なのだろうが、日本では、「アルノード・ボルシュグラーヴ」として、ロバート・モスと共著『スパイク上下』『モニンボ』 (ハヤカワ文庫)という傑作小説を書いている。反共リベラル的な内容だ。

とりわけ『スパイク』は、自由世界のアメリカの政府・言論機関などに、ソビエトスパイの罠が忍び寄り、著者のような保守系ジャーナリストがそれと闘うといった内容だった(かと記憶しているが、もう20年以上前に読んだきりなので記憶は曖昧。それにしても傑作小説だった。たしか古森義久氏なども絶賛していたかと。アメリカのインテリジェンス関連の講座でも必読文献の一冊となっていたかと)。
彼(ボルシュグラーヴ)は「ワシントン・タイムズ」の責任者になった時、文鮮明の支援に関して、社主が宗教的信条を持っている点では、他のアメリカの新聞とて同じだと反論もしていたが…。

それはともかくとして、ウィキペディアによると、近年、いろいろと彼の言論活動に関してはスキャンダルが発生しているようだが、回顧録も執筆しているとのこと。これは是非訳出してほしい本だ。

ともあれ、パケナムや日本人妻の子供への取材や、ルーツのアイルランドなどまで訪問しての取材により、知られざる彼の生涯や軌跡や記事の数々を発掘され、こういう面白い本を書かれたことに拍手。


蛇足だが、本書巻末の「主要参考文献」に、澤田康三氏の『凱旋門広場』(角川書店・1950年)という本がある。ちょっと読んでみたいなと思った。「日本の古本屋」で検索すると、なし。ううむ。
都立図書館の横断検索をしてみると、おお、一つだけあるではないか…と思ったら、なんと昭和40年以前の本は一切貸し出ししないから、読みたければ分館じゃダメだぞ、本館まで来い、そしたら館内閲覧は許してやるぞ、というハハハの中央区立「尊大」「親方日の丸意識丸出し」図書館のみの蔵書ときた。
サイテー図書館にしかないとは。古本市で出会えることを祈って…。

それにしても、戦前の本じゃないんだから、1950年ぐらいの本、貸せよと言いたいね。

といっても、さすがにこの頃の本の紙の質はちょっと悪い。例えば、「主要参考文献」にも同じく出てくるジョセフ・グルーの『滞日十年上下』 (毎日新聞社)は所有しているけど、結構ボロボロ状態。しかし、この本、中野区立図書館が所有している。ところが、この本でも、中野区立図書館は持ち出し禁止ではなく、貸出可能で借りることができる。ところが、中央区立図書館もこのグルーの本を所有しているが、もちろん「禁帯」。同じ区立図書館でも、この対応の差はなんと解釈すべきか。やはり中央区立図書館が図書館なのに、本を貸したがらないという点で「異常」図書館なのであろう。

幸い、この本は最近、ちくま学芸文庫が復刊しているから、これを買うなり借りて読むことは可能だ。

ところが、なんと中央区立図書館は、ちくま学芸文庫版を所有していないのだ。

せっかく毎日新聞社版を持っているのに、貸し出し不可。だったら、新版を買って用意すればいいのに、それはしない(ちなみに中野区立図書館は、ちくま学芸文庫版も持っている)。本当に中央区立図書館というのは、使いにくいサイテーレベルの図書館というしかない。

それでも、ここは、まだ都民以外の他県民にも門戸を開いている点で、最近になって急に杉並区民&周辺区民以外は登録させない、使わせないという方針に転換した杉並区立図書館よりは、まだマシな面もあるのだが…。土曜日も閉館時間は日曜日よりは遅めにしているし…。でも、そのうちに杉並化するかも?

茶金髪の「スマ歩」する女性でも、なにか一つは取り柄があるのと同様に(?)親方日の丸組織であっても、なにか一つは取り柄があるものだ?

スポンサーサイト
 | 共産主義  | TB(0)  | CM(0) | Page Top↑
Secret




TrackBack URL
→http://kesutora.blog103.fc2.com/tb.php/1300-f25577f0

プロフィール

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

カテゴリ