古本虫がさまよう 甲乙つけがたい「辰巳栄一と服部卓四郎」の軍人魂
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甲乙つけがたい「辰巳栄一と服部卓四郎」の軍人魂





先日、湯浅博氏の『歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一』 (文春文庫)を紹介した時、辰巳と対比列伝されることもある、もう一人の軍人服部卓四郎に関する評伝がまもなく出るらしいと触れた。遅ればせながら、その本〔阿羅健一氏『秘録・日本国防軍クーデター計画』 (講談社)]を読んだ。

タイトルはいささか勇ましいが、内容は、松本清張も晩年執筆しようと考えていたものの急逝のため書けなかった「服部機関」に関するノンフィクション作品である。

いうまでもなく、服部は、吉田からは嫌われ、再軍備を主張していた鳩山一郎とは仲がよかった。
それはともかく、GHQの中にあっても反共リベラルだったウィロビーに見出された服部は「服部機関」なるものを作り、大東亜戦争戦史のまとめや再軍備のための協力をすすめていく。ウィロビーは吉田茂とも仲はよかったし、辰巳も元軍人どうしで、服部とはいい仲だったようだ。

だが、吉田は土佐人の血(いわゆる「土佐のいごっそう」。偏屈者? つむじ曲がり?)が混じっているせいか(?)、人物に関しての好き嫌いが激しかったようで、一度、こいつは「敵」だと思いこむと、遠ざけて遇する傾向があったようだ。「服部」機関の面々には警戒していたそうな。阿羅氏も、そうした吉田のキャラクターにも踏みこんで、その非を綴っている。

服部の下には、さまざまな元軍人が集い、アメリカ(ウイロビー)の支援を受けて、戦史研究などもやり、朝鮮戦争勃発後は、戦略的な助言もアメリカ側に行なったりもする。

また、再軍備反対の吉田茂は打倒すべき対象ということで服部機関などによるクーデタ-計画もあったとかなかったとか…? そのあたりは、いささか眉唾物のようでもあるが、著者は、吉田茂の「再軍備否定論」を手厳しく批判もしている。なるほどとも思う。

占領下という状況下であったにせよ、吉田茂の「9条礼賛」や「再軍備否定」の国会答弁(初期)と政界引退後の発言との乖離とを考えると、時代的な変遷や違いがあるにせよ、表面的には小沢一郎の憲法観・軍事観などの変節(転向?)を笑えないというか、両者は実は似通っていると見ることも可能かもしれない。

小沢一郎も半世紀後には「平成の吉田茂」と言われるようになるかも? まさか? いやいやネバーセイネバーか?

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