古本虫がさまよう 中町信の『模倣の殺意』は、ベルンシュタイン的修正主義による、アガサ・クリスティのあの作品もびっくりの「改良」「修正」ミステリだった?
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中町信の『模倣の殺意』は、ベルンシュタイン的修正主義による、アガサ・クリスティのあの作品もびっくりの「改良」「修正」ミステリだった?





2013年4月8日の読売新聞にこんな記事が出ていた。

「約40年前に書かれた中町信さん(1935~2009年)の『模倣の殺意』(創元推理文庫)=写真=という本格ミステリー小説が突然、売れ始めている。
 書店によっては、文庫の週間ベストセラーで伊坂幸太郎さん、東野圭吾さんらを抑え1位に。映像化とも無縁の故人の旧作になぜ今、光が当たっているのか。
 アパートで自殺したとされた新進作家の死の真相を、女性編集者と男性ルポライターが別々に追う長編第1作で、1973年に『新人賞殺人事件』の名で双葉社から刊行。「日本では珍しかった叙述トリック(語りや構成でだます技法)の仕掛けにびっくりした」(東京創元社顧問の戸川安宣さん)と一部で評判になったが、その後は幻の名作的扱いで「東西ミステリーベスト100」などのランキングに入ることはなかった。徳間文庫を経て、2004年、雑誌掲載時の作品名に戻した“決定版”として創元推理文庫に入り、4・5万部まで増刷後、売れ行きは止まっていた。
 ところが、大手書店チェーンの文教堂が2012年末、この埋もれた名作に目をつけ、店頭に平積みしてプッシュ。評判が他の書店にも広がり、この4か月で累計20・5万部まで一気に増刷された。東京創元社では、「陥穽(かんせい)に落ちたような衝撃が味わえる叙述トリックの分かりやすさも、一般の読者に受けているのでは」と語る。
 中町さんはデビューから80年代中頃までの初期に、あの手この手のだましの技を披露した叙述トリックの先駆的作家だが、地道な捜査を描く社会派推理全盛という時代性もあってか、大きくブレークせず、その後は旅行ミステリーなどを手がけた。
 翻って今世紀に入ってのミステリーを見てみると、東野さんの代表作も含め、伊坂さん、道尾秀介さんらの叙述トリックの技巧に優れた作品が多く支持を得ている。中町さんの40年後のブレークは、「時代が追いついた」ということだろう。(文化部 佐藤憲一)




この記事のあと、他の新聞や週刊誌なども、中町氏のこのミステリ小説を紹介していたと記憶している。

そこで遅ればせながら、その本を入手。

カバー裏には、「じっくり腰を据えて読みすすんでいくと、やがて、どうみても中町氏の書き誤りではないかと考えざるを得ない結論に到達するのだが、ラストでそれが作者の仕掛けワナだったことを知らされる。その驚きは圧巻だ。近頃、これほど意外性に工夫をこらした作品は珍しい。ある意味で、私はクリスティの初期のある傑作を思いうかべ、読み終えてしばし呆然としたのである。/鮎川哲也」との推薦文もある。

某日の朝、午前4時前から一気に読み出し朝食前に読了。

最後の第四部のトビラには「あなたは、このあと待ち受ける意外な結末の予想がつきますか。ここで一度、本を閉じて、結末を予想してみてください」と書かれている。読者への挑戦状? ううむ、特に予想はつかなかった?

40年前の作品ということで、見合いのすすめや出張校正とか、土曜も仕事があったりとか、汚い字の原稿の清書の仕事とか、飛行機や鉄道ダイヤのトリックや、黒磯(那須塩原)-上野間には新幹線はなく急行などが走っていたり、車内に食堂車があったり、社内の自分のデスクで堂々とタバコが吸えたり…といった「古い昭和の時代」を感じさせる描写もある。 身内に飛行機会社の人間がいるからとはいえ、乗客名簿を一民間人が調べようともしている。今では考えられない描写?

一読して、ううむ…。ネタバレになるからあまり書けないけど、鮎川氏が「クリスティの初期のある傑作を思いうかべ」というのも、あの作品かな…とも。
面白く読んだが、少々頭がこんがらがってしまう。

あれはやはり自殺で、あれは殺しだったのか?

ということで30万部突破しているとか? 解説によると、最初に出た双葉社の『新人賞殺人事件』『新人文学賞殺人事件』 (徳間文庫)→ 『模倣の殺意』 (創元推理文庫)と発展的に改題・修正されてきたようだ。

イマイチの粗削り(?)の「マルクス主義」を、ベルンシュタインが、ベルンシュタイン的な「修正主義」を加え、それが社会民主主義→民主社会主義となり、マルクス主義はくたばっても、民主社会主義は今日になっても生き残っているように、ミステリ小説も、他の世の中全般の分野でも、いかに「修正主義」が大事かが分かる作品ともいえようか? 解説にもあったけど、せっかくの「謎」を初期の作品みたいに、「冒頭」から明らかにする必要はあるまい?

ベルンシュタインとその修正主義に関しては、関嘉彦氏の『ベルンシュタインと修正主義』 (早稲田大学出版部)が参考になる。原点としては、ベルンシュタインの『社会主義の諸前提と社会民主主義の任務』(ダイヤモンド社・佐瀬昌盛訳)が参考になる。「模倣の善意」が大事ですな。


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  09/13/2013 Fri [ Edit ]
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