古本虫がさまよう 図書館を建てた男の物語に感動してしまった
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図書館を建てた男の物語に感動してしまった






栗本和夫氏の『一図書館の由来記』 (中央公論美術出版)を読んだ。ちょっとミニサイズの100頁足らずの小さな本。昭和55年4月の刊行。

著者は元中央公論社の人。重役でもあったようだ。中央公論社の系列会社の中央公論美術出版を創設し、そこでも仕事をしていた。

やがて、信州信濃に土地を求め、「小さいが、美しい図書館をつくりたいと思った」という。その思いを実現させていく過程が半自叙伝的な形でも描かれている。

ネットで見ると、元中公の粕谷一希氏の『中央公論社と私』 (文藝春秋)の中にも、栗本氏への好意的な言及があるそうな(この本は刊行当時一読したが、その点は未確認)。

最初は別荘を建て、やがて奥さんと付き合いのある竹山道雄夫人も、近くに土地を求めて別荘を建てたという(その別荘は、いまは平川祐弘氏が使っておられるようだ)。

やがて財団法人の認可も受け、栗本図書館の建設に本腰を入れていく。蔵書や寄贈や土地の手当など。鎌倉の自宅を売って建設資金にもしていく。レニングラードの東洋学部図書館にあった日本の有栖川親王からの寄贈書を、戦時中死守した人のエピソードなども紹介されている。また、1958年には、実際レニングラード周辺にも出かけ、そうした戦跡を見てきたという。

建設地は、田舎故ということもあるが、「水」の供給などに関しても、周辺集落の人びととの交渉などもいろいろと大変だったようだ。有名な建築家の協力も得て、建設にかかるが、その建築家ともども著者も病気がちになってしまう。やがて…。
さまざまなアクシデントに見舞われつつも、無事建設が終り、小さくとも美しい図書館が完成。著者も病床にあって、こういう本をまとめることができたようだ(が、刊行とほぼ同時に死去されたそうな)。

本書の中に図書館の写真や図面もある。三階建ての図書館。建坪は186坪。延坪は326坪。今も運営されているのであろうか? 最寄り駅(信濃境駅)からも歩ける距離(1キロ弱)のようだから、ちょっと寄れるものなら寄ってみたいものだが…。

ううむ、僕などはこういうのを見ると、私有財産としてこういうのが持てたら、いまある本も全部本棚に所蔵できるのではないかと思ってしまう。

それにしても、ご主人のこうした「本」への執着、私財を使っての図書館建設に関して、奥様は快く同意されたとのこと。どっかの古女房とは大違い!?


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