古本虫がさまよう 2017年05月
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上野千鶴子さんの書評本を読むにつけ、それなりに参考になるけど、ジャン・フランソワ・ルヴェルの『民主主義国の終焉』 (芸艸堂)、『全体主義の誘惑』 (新潮社)、『グローバル・デモクラシー』 (青土社)や西岡力さんの慰安婦本も紹介されていればもっと良かった?
(2017・5・24・水曜日)




上野千鶴子さんの『時局発言! 読書の現場から』 (WAVE出版)を読んだ。

内容紹介→脱原発から国会前のデモまで。 社会学者、上野千鶴子が読みながら、走りながら、考えた。 日本社会の問題点が、この一冊で見えてくる!日本を代表する社会学者・上野千鶴子が選び出した、 時代の「いま」と伴走する書籍、論考たち。 日本社会を根底から揺るがす大きなうねりが続くなか、 読書を通じて、社会の問題点に鋭く切りこむ!

まぁ、かなりリベラル左派の視点からの書評エッセイ本。ただ、たくさんの本が出てきているので、ほぉ、そんな本があるのなら、読んでみようかなとも。読んでいる本は少ないし、同じ感想を持っているという本もあまり見当たらないが……。それでも「質」より「量」…。

書評や読書傾向は「個性」があって当たり前。とはいえ、無い物ねだりになるかもしれないが、 「『民主主義』はひとつではない」という本の紹介の中で、ジャン・フランソワ・ルヴェルの『民主主義国の終焉』 (芸艸堂)、 『全体主義の誘惑』 (新潮社)なんかあったら、なお良かっただろうにとは思う。彼の『グローバル・デモクラシー』 (青土社)なんかも名著。彼が語る「民主主義」こそ、より正しい民主主義だと思うから。単細胞的なデモ型民主主義礼賛の本ばかりでは偏った人間になりかねないから。

そのほか、 「現代史教育、軽視のツケ」という本の紹介コーナーではヘイトスピーチに惑わされる若者たちは「現代史教育」が軽視されてきたからという「定説」にのっとった本を紹介しているが、やはり、ここには、稲垣武さんの『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』 (PHP研究所)などもあわせて紹介されると尚良かったではないか。ヘイト・スピーチならぬ「逆ヘイト・スピーチ」というか、共産国家に「ラブラブ・スピーチ」をしていた愚かな人々の「現代史」の言論が紹介されており、「他山の石」として伝えるべき価値があるのだから。

慰安婦に関しても、 「火傷を負う『慰安婦』問題」のコーナーで熊谷奈緒子氏の『慰安婦問題』 (ちくま新書)を「目配りのよい好著である」としているが、これは朝日が慰安婦報道を若干反省する表明をする前に出た本だが、たしか、吉田清治問題などには触れていなかったかと。その意味で、左方面にちょっと「目配り」「気配り?」しすぎて?、その点はイマイチだったかと(末尾に批評再録)。

朴裕河氏の『帝国の慰安婦』 (朝日新聞出版 )や、茶園敏美氏の『パンパンとは誰なのか』 (インパクト出版会 )などは本欄でも「高く」評価しているので、違和感はないのだが。
せめて、西岡力氏の『よくわかる慰安婦問題』  (草思社文庫)ぐらいは紹介する度量があってもいいのでは? 関連書として、北朝鮮人権第3の道編の『北朝鮮 全巨里教化所 人道犯罪の現場 全巨里教化元収監者81人の証言を含む8934人による、北朝鮮の国内人権状況の証言集』 (連合出版)も。

サピオ編集部編の『日本人が知っておくべき「慰安婦」の真実』 (小学館)を紹介はしているが、 「20年前には抑制された夜郎自大なプロパガンダ本が、大手の出版社から刊行される時代の保守化に気が滅入る」という筆致には、こちらこそ「気が滅入る」というしかない。正しい事実を指摘するのを「夜郎自大」「保守化」と決めつける発想はいただけない。所詮、上野さんも、進歩的文化人・容共リベラルでしかないのかしら。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!

(以下再録)
「慰安婦問題」は何が問題なのか?(2014・7・17・木曜日)


熊谷奈緒子氏の『慰安婦問題』 (ちくま新書)を読んだ。著者は1971年生まれ。
「あとがき」をまず読むと、文科省の科学研究費の助成なども受けてこのテーマを研究し、北岡伸一氏(国際大学学長)の助言を得ているとのことだから、左翼史観的な本ではないだろうと思って手にした次第。

「慰安婦」「アジア女性基金」などをめぐる保守派、リベラル派などの見解や対立に関して、的確に分析批評しており、知識の整理にまず役立つ本だった。
また、戦争による被害に関して、国家賠償や個人賠償などが、戦後どのような歩みをしていたのか、日本のみならず諸外国の例も綴られており参考になった。

ただ、いわゆる「従軍慰安婦」強制連行論争に関して、発端となった吉田清治(詐話師?)の著作や、それを提灯持ちした朝日新聞や、慰安婦と挺身隊とを混同して報じたりした問題についての考察がまったくないのはちょっと残念。逃げたのかな?
挺身隊が慰安婦のような働きを強いられたというのは誤解であり、「組織的に挺身隊が慰安婦に充当された証拠はない」との指摘はあるが、その誤解を拡散する記事を書いた朝日の植村隆記者の「誤報」には触れていない。
逆に「女性国際戦犯法廷」などという、いささかイデオロギー過剰の「裁判劇」を真面目に考察しているのは紙面の無駄だったか? 
そうした日本のかつての「戦争犯罪」ばかりをことさら追及したがる勢力の背後に、北朝鮮支援団体などがあるという報道もある。その事実に関して、的確か否かの考察なども本書にあればよかったのだが、残念ながらそれもない。

以前、大沼保昭氏の『「慰安婦」問題とは何だったのか メディア・NGO・政府の功罪』 (中公新書)を読んだことがある。また、吉見義明氏の『従軍慰安婦』 (岩波新書)や秦郁彦氏の『慰安婦と戦場の性』 (新潮選書)や西岡力氏の『よくわかる慰安婦問題』 (草思社。同社から増補新版の文庫版もある)などもある。そのほか、何冊か「慰安婦」問題を扱った本は読んできたが、いろいろな視点の本を読むことは大事。
その意味で、山際澄夫氏の『すべては朝日新聞から始まった「慰安婦問題」』 (ワック)は名著。熊谷奈緒子氏の『慰安婦問題』 が取り上げていない論点を網羅している。もちろん、山際氏が言及していない点もあり、それは熊谷氏の本で知ることも可能。両書の併読をお勧めしたい。

ベトナム戦争に於ける韓国軍兵士のベトナム女性に対する扱いがどうだったかなどの報道も最近散見されるが、韓国も天に唾するようなことをやっているから、そういう墓穴を掘ることもあろうか?

ともあれ、戦時に於けるそうした「慰安婦」問題は、強制であれ、なんであれ、褒められた話ではない。ただ、中学生レベルの教科書などで、日本人だけがそんなことをしたかのように書いて「自虐的」に貶めるのはやはりおかしい。
どの時代でも、どの国でも五十歩百歩のようなことがあり、それが徐々に改善されてきている‥‥ということを学ぶことは大事ではあろうが。

以下、一般論であるが、「戦後」の「平時」に於いて、ソ連や中共(文革)などが、満洲やモンゴルなどでやった強姦例などこそが、戦争犯罪ならぬ「人道に対する罪」であろうが、そうしたことへの考察はまだまだであろうか? 北朝鮮の収容所に於ける看守などによる女囚への強姦例も多々ある。北朝鮮人権第3の道編の『北朝鮮 全巨里教化所 人道犯罪の現場 全巨里教化元収監者81人の証言を含む8934人による、北朝鮮の国内人権状況の証言集』 (連合出版)などは貴重な史料である。

こういった現在進行形の、より悪の大きい問題にも、現代史や人権問題の研究者や人権追及カメラマンたちは関心を持つべきであろう。当然、「女性国際戦犯法廷」ならぬ「共産諸国戦犯国際法廷」も開廷されるべきであり、そのための「裁判資料」ともなる研究成果を提示するためにも若い研究者の、さらなる向上心に期待したい。


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