古本虫がさまよう 2015年08月
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「空想的軍国主義」から「空想的平和主義」では困るんです
(2015・8・31・月曜日)






吉田賢治氏の『軍国教師から沖縄・平和運動へ  中村文子の生涯』 (西日本新聞社)を読んだ。

2013年に99歳で亡くなった女教師・中村文子氏(1913年沖縄生まれ)の生涯を描いた評伝。太平洋戦争中は、本土で教師をしていたが、戦後は沖縄に戻り、教師として、平和運動に邁進したとのこと。婦女暴行事件やら、米軍の不祥事を怒り…。天皇にも戦争責任ありとの姿勢。その気持ちはよく分かるが……。

この人は、9条改憲には絶対反対の立場。その理由は……。

「他国が急に攻めてくることはないはずです。軍事衝突にならないように、外交・話し合いで解決させるべきなのです。お互いの国が武器をちらつかせながら、友好的な話し合いができるとは思えません。ピストルを突き付けて利益を得るのは脅迫で、犯罪です」

とはいえ、「他国が急に攻めてくることはないはずです」とは必ずしもいえないのが、国際社会の現実ではないか? 

ルーズベルトの陰謀云々は別にして、少なくともハワイにいた人にとっては「他国が急に攻めてくる」ことになったではないか。日米相互でいろいろと話し合いをしていたにもかかわらず…。

南樺太や千島や満洲にいた人にとっても、「ソ連が急に攻めてくる」ことになったではないか。まだ有効な日ソ中立条約があったにもかかわらずである。

朝鮮戦争にしても、38度線近くの人にとっては「他国が急に攻めてくる」ことになったではないか。アチソン国務長官(当時)が、朝鮮半島はアメリカの防衛ラインに非ずといったために……。

「史実」を無視した空想的な議論にはあまり説得力はない。竹槍精神による空想的防衛主義も、9条(オンリー)精神による空想的非(軽?)武装主義も、現実を無視した空論ではないのか?

空想的平和主義者ならではの妄言に依拠して、独立と安全を確保するのはナンセンス。 「奴隷の平和」でいいというのならまだしも。

少なくとも、すぐに「武器(核兵器)」をちらつかせる北朝鮮にも何かひとことあるべきだろうが、そういう記述も見当たらない。やはり「空想的平和主義者」だろうか。

書名にもあるように、戦前戦時中は「空想的軍国主義者」(軍国教師)だったようだから。

「ピストルを突き付けて利益を得るのは脅迫で、犯罪です」と本気でいうなら、北朝鮮にもひとこと批判的コメントを放つべきではないか。それがないようだ。知的矛盾ではないのか。

「私は『お国のために』という考えに、当時はまったく疑問をもちませんでした」とのこと。
というのも、「当時、国民の多くは、世の中で起きている本当のことを知りませんでした。新聞には都合の悪い記事は載らず、戦果や武勇伝で埋められ、私たちはそれが真実だと思っていました」と。

なるほど。それは、一理はある。

戦後も、ソ連や中共や北朝鮮は、一部マスコミ、いや主流的なマスコミでは、長らく神聖なものとされ、こういう国で「起きている本当のことを知りませんでした」「新聞には(これらの国々の)都合の悪い記事は載らず、戦果や武勇伝で埋められ、私たちはそれが真実だと思っていました」と。

もちろん、徐々に神話は崩れ、また、戦時中と違って、多様な新聞や雑誌が戦後はあるから、そうした「洗脳」は限定的であったが、批判する側には「反共ヒステリー」などといった罵声がかけられたものだ。

北朝鮮を賛美する新聞雑誌(「朝日」「世界」など)のおかげで、拉致の事実がなかなか発覚しないままま無駄な時を過ごしたものだ。そして、いまや「話せば(簡単に)わかる」相手ではないことは自明であろう。
民主主義国家どうしなら、TPPにしても、決裂したり妥協したり盗聴したり(?)といろいろとあっても、武力衝突はなしでなんとかやっていけるだろうが、南北朝鮮を見れば、時には「武力衝突」も小競り合い的には発生する……。

「他国が急に攻めてくることはないはずです。軍事衝突にならないように、外交・話し合いで解決させるべきなのです。お互いの国が武器をちらつかせながら、友好的な話し合いができるとは思えません。ピストルを突き付けて利益を得るのは脅迫で、犯罪です」

そういう言葉も、朝鮮半島をめぐる北朝鮮の「武器をちらつかせながら」の対応一つみても、虚しいものがある。

日本人とて、「話せばわかる」といった相手を射殺した輩もいた。思い詰めた「精神強調主義者」のやることは、右も左も極端になりがちだ。

一定の武力なくしては話し合いの場にもやってこない輩も世の中にはいる。ヤクザとて、警察がやってきて、やっと住民との交渉に応じることもある。過激派、テロも日本国内で減少したのは警察があったからこそだ。

「我が都市は飲酒運転ゼロを宣言します」といっても、飲酒運転をする輩は消えない。監視カメラを設置したり飲酒運転を厳罰にしても、ちょっと減る程度か。
監視カメラや厳罰がなければ、ひき逃げは増える一方? 少なくとも警察がなければ、飲酒運転は増える?
ネバーセイネバーだけど、あらゆる可能性を想定して、対応する必要がある。

「空想的軍国主義」も「空想的平和主義」も排して、「積極的平和主義」云々はともかくとしても、少なくとも「現実的平和主義」を構築するほうが先決だと思う。

戦前の教訓とは、「空想的思考」に陥らないことだ。「空想的軍国主義」も「空想的平和主義」も、どちらもゴメンである。全体主義は、右(ファシズム)も左(コミュニズム)もゴメンである。それに尽きる。

 ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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