古本虫がさまよう 2015年06月
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「正垣親一」を忘れてはいけない
(2015・6・30・火曜日)




『たいへんよく生きました ぬか風呂サロン闘病記』 (論創社)という本が出ている。

体力自慢で病気知らずの団塊男子Mに、突然の咽頭癌発症。勧められて知って“ぬか風呂”を自宅に設置し、ユニークでグルメな闘病生活が始まった!90年代ロシアの支援活動に奔走し、ロシアとともに生きた男の半生をパートナーの視点から描いた、胸に迫る追悼のドキュメント。



この書名からだけではピンとこないが、正垣親一氏の「奥さん」(同居人。亡くなる直前に入籍)である片岡みい子さんが、彼との出会いから始まって、彼の闘病について書いている本と知って手にした次第(片岡さんも正垣さんも東京外語大学のロシア科卒業。彼女の訳書『強制収容所へようこそ』 (ラトゥシンスカヤ著。晶文社)も一読した覚えがある)。

というのも、正垣親一さんの講演を1980年代前半に、学生時代などに何度か聞いたことがあるからだ。ちょっと小太りで快活なバイタリティあふれる話し口だったと記憶している。
当時、国外追放されたソルジェニーツインはともかくとして、国内流刑状態だったサハロフを弾圧するソ連に対しての救援活動を彼は積極的に展開していた。 『地下ロシアの声 ソ連反対派知識人運動ドキュメント』 (柘植書房)などの本も刊行していたかと。2001年4月に逝去。まだ50代。いまの僕より若い年齢だ。

それにしても、そういう公的な活動しか僕は知らなかったから、本書で描かれているような修羅場的な闘病生活や会社経営などは初めて本書を読んで知った次第。

「ぬか風呂」というのは、よく分からないが、発酵した糠(ぬか)の中に体を埋めると砂風呂みたいで健康にいいとのこと。癌治療にも効果があるということで、正垣氏の自宅に設置し、しばしば入り、本人以外にも家族や友人が入りにきたという。ロシアに設置し、エリツィンにも入らせようとしたとのこと(実現しなかったが)。
発酵させるのにいろいろと手間がかかり、近隣に臭いが漂う懸念もあったりしたそうだが……。

ともあれ、二人でロシアに何度も出かけ、ソ連崩壊後は困窮下にあった人びとのための救援活動もしたという。かといってお金持ちだったわけでもない。
日本では会社を経営もしていたが、借金漬けで四苦八苦。ロシア語でいうところの、なんとかなる、ニーチェーボーの精神で生き抜いたのかもしれないなと感じた。

片岡さんは、付き合い始めた時に、中絶を体験したこともある。その後は、生活への不安もあり、子供を作ることもなく、正式の結婚は死ぬ間際……。彼の両親や姉妹たちとのさまざまな葛藤や、自分の親たちからの結婚(同棲?)への反対論など、さまざまなことがあったが……。

最後の章(10章・終章)は、今朝自宅で一読。ホスピスでの臨終間際の日々。涙が出てきた。電車の中で読まないでよかった。

ソ連関係の仕事でお世話になった宝島社の石井慎二氏の名前もしばしば出てくる(彼ものちに癌で死亡)。エリツィンにしても正垣さんにしても、もう少し長生きしてくれれば、日露関係もよくなっていたかもしれない。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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