古本虫がさまよう 2012年10月
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高村坂彦氏(こうむら・さかひこ)の『真実の上に立ちて 戦争と占領時代』 (白文堂)を読んだ。
昭和29年の刊行。「謹呈 吉田良様 著者」のサインがある(吉田良なる人は多々いるようだが、高村氏と同世代の吉田良という人はどういう人なのかは不明)。
高村氏は、戦前は内務官僚、戦後は政治家。息子が自民党の高村正彦氏。
重光葵氏や富田健治氏の推薦文が冒頭に記されている。戦前戦中戦後の日本政界の「内幕」が綴られており面白い。

著者は近衛首相の秘書官を勤めていたこともあり、近衛氏の「視点」からの分析が多い。戦犯に指名され、不満に思っていた彼の心の内情を綴りつつも、よもや自殺するとは思わなかったそうな。中国共産党の人民戦線戦術の分析、日本軍部内に「一種の革新思想が滲み込んでいて、国内の現状維持勢力に対抗し、更に、国際的現状維持勢力の打破の主張となったことによるものとの見解である」「少なくとも国内革新思想が、国際的現状打破勢力と結ぶ気運を醸成し、こうした勢いが、同じく現状打破の革命勢力たる、ソ連陣営の謀略外交に利用されたことは否定出来ないであろう」とも。

蘆溝橋事件にしても、日本側ではなく中国側によるものとみなしている。

ともあれ、一昔前なら、中公文庫などに収録されてしかるべき一冊といえようか。

富田氏といえば、富田健治氏の『敗戦日本の内側 近衛公の思い出』 (古今書院)なる本も積んどくしている。そのほか、北岡寿逸氏の『我が思ひ出の記』 (非売品)も積んどく(この本には北岡氏による「向山寛夫さま」への署名がある。向山氏は中国・台湾に関する研究者であったようだ)。積んどく本ばかりが多いが、こうした自叙伝の類もせっせと読破したいものなり。
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