fc2ブログ
2012年04月 / 03月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫05月

2012.04.21 (Sat)

大東亜戦争(太平洋戦争)とは何だったのか?











1947年生まれの筧次郎氏の『自立社会への道 収奪の五〇〇年を超えて』 (新泉社)を読んだ。
今日、わが国の知識人たちは、右も左も現在の収奪経済に反省がないと指摘している点は、全共闘世代らしい発想といえようか。ただ、日露戦争で日本が勝利したのは非白人による白人に対する初めての勝利であり、「植民地の人々を勇気づけた。真珠湾攻撃に始まるいわゆる太平洋戦争でも、緒戦の勝利によってヨーロッパ人を東南アジアから排除し、戦争には敗れたものの、ヨーロッパの消耗も大きかったため、再び戻ってくることができなかった」と一定の評価を与えている点がユニークといえようか。

「自ら歴史を学び直すまでは、私自身が戦前の政治行動を『軍国主義』とか『ファシズム』と一面的にとらえ、深く考えることなく全否定し、戦後の平和と繁栄を是としていたのであるが、今はほとんど正反対の評価をしている。『大東亜戦争』に至るまでの日本の行動は、端的に言えば、『強制的な収奪の時代』に世界史の中に引きずりこまれた日本人が、白人に支配されないで生きるための、しかし力関係を冷静に見れば『絶望的な』抵抗であった」

もちろん、著者は誤解のないようにということで、日本が朝鮮や中国や東南アジアなどの各地を侵略して富と労働を収奪した戦前・戦中の行為を正当化するつもりはなく、彼らから見れば、侵略者がヨーロッパ人であろうと日本人であろうと同じことであり、「アジアの解放」を掲げながら実際に日本人がやったとはヨーロッパ人同様の非道であったという。

とはいえ、日本の統治がヨーロッパ人よりは「マシ」だったという面もあるかもしれないのだが…。少なくとも「北朝鮮」「台湾」の戦後の苦労、モンゴル地域の文革時代の惨状に対する人々の日本占領統治時代の懐かしみなど--そのあたりは一連の台湾人の著作や司馬賞を受賞もした岩波書店から刊行の楊海英氏の『墓標なき草原 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録 上下』『続 墓標なき草原 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』 などを見れば一目瞭然では?

「しかし、弱肉強食の世界に引きずりだされ、『侵略者になるか隷属者になるか』の二者択一を迫られた明治維新後の日本人に、ほかにどのような選択がありえただろうか」「私は侵略者であった先祖たちに同情を禁じえない」「むしろ、白人とともに支配者になった戦後の日本人のほうを、その一員として恥ずかしいと思うのだ。戦前の『軍国主義』と『侵略』を『悪』、戦後の『平和』と『民主主義』を守るべき『善』と対照的にとらえる進歩的文化人は、曇りのない目で歴史を見ていないし、現在の収奪も見ていない。たとえば戦後民主主義教育は、第二次世界大戦を『軍国主義・ファシズム』と『民主主義・自由主義』の戦いと規定するが、日本の戦いはドイツやイタリアの戦いとはまったく意味が異なる。日本はアメリカ、イギリスと戦うために、敵の敵であるドイツ、イタリアと同盟を結んだにすぎない」

 なるほどと思うそんな指摘もあれば、ふうむ?はてな?と感じるところもあったが、いろんな立場の考えを知ることは貴重。勉強になりました。

スポンサーサイト



04:24  |  軍事  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)
 | HOME |