古本虫がさまよう 2011年01月
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田中雅一氏の「癒しとイヤラシ エロスの文化人類学」(筑摩書房)を読了。題名からしてちょっとおふざけ本かと思ったが、著者は博士課程修了の人類学などを専攻する京都大学教授。マジメ本でした。女体盛りは日本文化か否か、代々木忠氏の作品解説論、永沢光雄氏の「AV女優」(文春文庫)などエロスモノの著作分析論など…が収録されている。

その中でちょっとおやっと思ったのが、水野浩氏(前著)とノストラダムス大予言でも知られる五島勉氏編(後著)の「日本の貞操 外国兵に犯された女性たちの手記」と「続日本の貞操」(蒼樹社)に関する指摘だ。「日本の貞操」はノンフィクションではなく共産党員による「創作」であったとのこと。米兵に犯されパンパン(売春婦)に転落したりする女性の手記として当時は読まれていたのに……と。

両書とも積んどくしていた。五島氏編の「続日本の貞操」はすぐに見つかったが、水野氏編は見当たらず。このフィクションの事実を指摘したのが、前述のジャズピアニストでもあるマイク・モラスキーで、その別著「占領の記憶記憶の占領 戦後沖縄・日本とアメリカ」(青土社)で詳述されている。それも積んどく本だった。慌てて該当箇所を一読。ううむ。

かつて慰安婦狩りをしたという吉田清治氏の本「朝鮮人慰安婦と日本人」(新人物往来社)「私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行」(三一書房)が実は針小棒大なフィクションがあったのにノンフィクションとして流通し、朝日新聞をはじめとするマスコミによって吹聴され外交問題にまで進展してしまったことがあるが、これまた反米世論を増幅するために日本共産党員だった関係者によって捏造されたというのだ。

「一九九六年五月に私(モラスキー)は、この書物が出版された一九五三年当時(今はない)蒼樹社で働いていた編集者を東京でつきとめた」「電話インタビューにおいて彼は、この四つの物語が「水野浩」という実体のよくわからない人物によって書かれたことを認めた」「水野は日本共産党と関係していたらしく、横須賀の基地で働いて情報を集め、パンパンの世界にも通じていたらしい」「その編集者によれば、蒼樹社は内部での激しい論争のうえ、この本の出版を決意」「社から何人かの編集者が日本共産党の意向を探るために代々木の党本部を訪問し、蒼樹社は共産党のゴーサインを受けて初めて本書の出版に乗り出した」


まぁ、今でも女教師編、未亡人編で性遍歴を綴った手記の類が実話ではなく「創作」というのはよく聞く話だが、日本共産党の詐術の手法はその後も続いたということか。ただ電話インタビューなどや「らしい」「らしく」の表現が若干気にはなる。

といっても、この本1982年に、実録ノンフィクションとして倒語社から「死に臨んでうったえる 空洞の戦後叢書」として復刊もされている。発行者の吉林勲三氏は、この本を復刻するにあたって水野氏と連絡を取ろうとしたができず無断での重刻となったという。まぁ、存在しない人かも知れないから? 吉林氏は、立命館大学の学生時代、1969年5月に「わだつみの像」を倒壊したという。そういえばそんな事件もあったか? その「犯行」の直後広島に行き、「日本の貞操」を古本屋で入手し読んで「ひどく感動した」という。その思いを綴ってもいるが、今となっては共産主義者の手中で操られた虚しい左翼人の悲哀というしかないのかもしれない。お可哀相に!


それはともかくとして、 本屋で立ち読みした希崎ジェシカ氏の「オーラルセックス」(ベスト新書)は口述であったとしてもオーラルヒストリー的に本人の実話であろうが? 改行だらけなので立ち読みで十分。帯に「こんな口撃で攻めてほしい」とある。自分自身の性体験、オーラル体験、クンニなどの感じるテクニックを詳述している。参考になる?

それにしても「日本女性の貞操」は何処へ消えたのやら? 勿論男も! 小谷野敦氏の童貞を綴った私小説「童貞放浪記」(幻冬舎文庫)もあったかと。
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