古本虫がさまよう 2010年12月
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全体主義を考える  12/31/2010  

 三浦小太郎氏の「嘘の人権偽の平和」(高木書房)を読んだ。著者は1960年生まれ。最近話題の佐藤優氏もたしか同年生まれ。彼の「私のマルクス」(文春文庫)も同時期に読んだ。
 どちらも思想的遍歴が綴られており、知らない書物なども紹介されており参考になった。
 三浦氏は「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」の代表を務めていることもあって、アレントなどを紹介しつつナチスとソ連とは同じ全体主義国家であるとの認識で北朝鮮の人権弾圧の非を論じている。もっともだ。
 一方、佐藤氏は1960年生まれにしては高校時代から東欧に関心を寄せたり社青同に入ったり大学時代は韓国の人権弾圧に抗議する学生運動などに深く関与したりもしていたようだ。
 その点、三浦氏は朴政権を「擁護」した福田恒存などを高く評価している。
 また佐藤氏は、ラインホルド・ニーバーの「「アメリカ史のアイロニー」(新教出版社だったか)を熱中して読んでいたものの、この本の中でニーバーが共産主義は基本的にナチズムと同じ全体主義だと指摘しているのを読んで「この人はなんて薄っぺらいんだろうと思った」という。「そこでニーバーがまったく面白くなくなってしまいました」とのこと。ニーバーの本は積んどくしていたような気がするが繙かなくてはと。意外と面白いのでは?
 それにしても同年生まれの両者の主張はある意味で平行線をたどっているようにも思える。僕は佐藤氏と違って宗教心はあまりなくクリスマスも正月もプレゼントをもらっていたころは支持していたが、もらえなくなった頃から「転向」してアジア人が邪教の親玉が生まれた日を何故祝う必要があろうか、そんな植民地根性から脱却しなくてはと主張するようになった? 
 
 冗談はともかく、僕も両者とほぼ同世代。学生時代は韓国の人権弾圧に抗議する立て看をよく見かけた。北朝鮮はいい国だが,韓国はひどいという学友が多かった。しかし、デモをする光景がテレビで放映されること自体、まだ「自由」がある証拠で、同じような,いやもっとひどい人権弾圧を共産圏は行っているのに、より「自由」がないからそれを映像で見ることができないからといって無関心でいたり、そっちの方が自由だというのはおかしいと考えていた。その見方は決して間違っていないことは30年後の今からすれば明白ではないか。
 三浦氏が紹介しているサルトルの晩年の「転向」(ベトナム難民を救えと主張!)を見るにつけ、日本では小田実などは決してそんな行動を取らなかったことは「日本の恥」というべきだろう。彼は北朝鮮をも擁護した。「「私と朝鮮」(筑摩書房)、「北朝鮮の人びと」(潮出版社)などは寺尾五郎の「三十八度線の北」(新日本出版社)などと並ぶ天下の奇書トンデモ本というべきだろう。
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