古本虫がさまよう 共産主義
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上野千鶴子さんの書評本を読むにつけ、それなりに参考になるけど、ジャン・フランソワ・ルヴェルの『民主主義国の終焉』 (芸艸堂)、『全体主義の誘惑』 (新潮社)、『グローバル・デモクラシー』 (青土社)や西岡力さんの慰安婦本も紹介されていればもっと良かった?
(2017・5・24・水曜日)




上野千鶴子さんの『時局発言! 読書の現場から』 (WAVE出版)を読んだ。

内容紹介→脱原発から国会前のデモまで。 社会学者、上野千鶴子が読みながら、走りながら、考えた。 日本社会の問題点が、この一冊で見えてくる!日本を代表する社会学者・上野千鶴子が選び出した、 時代の「いま」と伴走する書籍、論考たち。 日本社会を根底から揺るがす大きなうねりが続くなか、 読書を通じて、社会の問題点に鋭く切りこむ!

まぁ、かなりリベラル左派の視点からの書評エッセイ本。ただ、たくさんの本が出てきているので、ほぉ、そんな本があるのなら、読んでみようかなとも。読んでいる本は少ないし、同じ感想を持っているという本もあまり見当たらないが……。それでも「質」より「量」…。

書評や読書傾向は「個性」があって当たり前。とはいえ、無い物ねだりになるかもしれないが、 「『民主主義』はひとつではない」という本の紹介の中で、ジャン・フランソワ・ルヴェルの『民主主義国の終焉』 (芸艸堂)、 『全体主義の誘惑』 (新潮社)なんかあったら、なお良かっただろうにとは思う。彼の『グローバル・デモクラシー』 (青土社)なんかも名著。彼が語る「民主主義」こそ、より正しい民主主義だと思うから。単細胞的なデモ型民主主義礼賛の本ばかりでは偏った人間になりかねないから。

そのほか、 「現代史教育、軽視のツケ」という本の紹介コーナーではヘイトスピーチに惑わされる若者たちは「現代史教育」が軽視されてきたからという「定説」にのっとった本を紹介しているが、やはり、ここには、稲垣武さんの『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』 (PHP研究所)などもあわせて紹介されると尚良かったではないか。ヘイト・スピーチならぬ「逆ヘイト・スピーチ」というか、共産国家に「ラブラブ・スピーチ」をしていた愚かな人々の「現代史」の言論が紹介されており、「他山の石」として伝えるべき価値があるのだから。

慰安婦に関しても、 「火傷を負う『慰安婦』問題」のコーナーで熊谷奈緒子氏の『慰安婦問題』 (ちくま新書)を「目配りのよい好著である」としているが、これは朝日が慰安婦報道を若干反省する表明をする前に出た本だが、たしか、吉田清治問題などには触れていなかったかと。その意味で、左方面にちょっと「目配り」「気配り?」しすぎて?、その点はイマイチだったかと(末尾に批評再録)。

朴裕河氏の『帝国の慰安婦』 (朝日新聞出版 )や、茶園敏美氏の『パンパンとは誰なのか』 (インパクト出版会 )などは本欄でも「高く」評価しているので、違和感はないのだが。
せめて、西岡力氏の『よくわかる慰安婦問題』  (草思社文庫)ぐらいは紹介する度量があってもいいのでは? 関連書として、北朝鮮人権第3の道編の『北朝鮮 全巨里教化所 人道犯罪の現場 全巨里教化元収監者81人の証言を含む8934人による、北朝鮮の国内人権状況の証言集』 (連合出版)も。

サピオ編集部編の『日本人が知っておくべき「慰安婦」の真実』 (小学館)を紹介はしているが、 「20年前には抑制された夜郎自大なプロパガンダ本が、大手の出版社から刊行される時代の保守化に気が滅入る」という筆致には、こちらこそ「気が滅入る」というしかない。正しい事実を指摘するのを「夜郎自大」「保守化」と決めつける発想はいただけない。所詮、上野さんも、進歩的文化人・容共リベラルでしかないのかしら。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!

(以下再録)
「慰安婦問題」は何が問題なのか?(2014・7・17・木曜日)


熊谷奈緒子氏の『慰安婦問題』 (ちくま新書)を読んだ。著者は1971年生まれ。
「あとがき」をまず読むと、文科省の科学研究費の助成なども受けてこのテーマを研究し、北岡伸一氏(国際大学学長)の助言を得ているとのことだから、左翼史観的な本ではないだろうと思って手にした次第。

「慰安婦」「アジア女性基金」などをめぐる保守派、リベラル派などの見解や対立に関して、的確に分析批評しており、知識の整理にまず役立つ本だった。
また、戦争による被害に関して、国家賠償や個人賠償などが、戦後どのような歩みをしていたのか、日本のみならず諸外国の例も綴られており参考になった。

ただ、いわゆる「従軍慰安婦」強制連行論争に関して、発端となった吉田清治(詐話師?)の著作や、それを提灯持ちした朝日新聞や、慰安婦と挺身隊とを混同して報じたりした問題についての考察がまったくないのはちょっと残念。逃げたのかな?
挺身隊が慰安婦のような働きを強いられたというのは誤解であり、「組織的に挺身隊が慰安婦に充当された証拠はない」との指摘はあるが、その誤解を拡散する記事を書いた朝日の植村隆記者の「誤報」には触れていない。
逆に「女性国際戦犯法廷」などという、いささかイデオロギー過剰の「裁判劇」を真面目に考察しているのは紙面の無駄だったか? 
そうした日本のかつての「戦争犯罪」ばかりをことさら追及したがる勢力の背後に、北朝鮮支援団体などがあるという報道もある。その事実に関して、的確か否かの考察なども本書にあればよかったのだが、残念ながらそれもない。

以前、大沼保昭氏の『「慰安婦」問題とは何だったのか メディア・NGO・政府の功罪』 (中公新書)を読んだことがある。また、吉見義明氏の『従軍慰安婦』 (岩波新書)や秦郁彦氏の『慰安婦と戦場の性』 (新潮選書)や西岡力氏の『よくわかる慰安婦問題』 (草思社。同社から増補新版の文庫版もある)などもある。そのほか、何冊か「慰安婦」問題を扱った本は読んできたが、いろいろな視点の本を読むことは大事。
その意味で、山際澄夫氏の『すべては朝日新聞から始まった「慰安婦問題」』 (ワック)は名著。熊谷奈緒子氏の『慰安婦問題』 が取り上げていない論点を網羅している。もちろん、山際氏が言及していない点もあり、それは熊谷氏の本で知ることも可能。両書の併読をお勧めしたい。

ベトナム戦争に於ける韓国軍兵士のベトナム女性に対する扱いがどうだったかなどの報道も最近散見されるが、韓国も天に唾するようなことをやっているから、そういう墓穴を掘ることもあろうか?

ともあれ、戦時に於けるそうした「慰安婦」問題は、強制であれ、なんであれ、褒められた話ではない。ただ、中学生レベルの教科書などで、日本人だけがそんなことをしたかのように書いて「自虐的」に貶めるのはやはりおかしい。
どの時代でも、どの国でも五十歩百歩のようなことがあり、それが徐々に改善されてきている‥‥ということを学ぶことは大事ではあろうが。

以下、一般論であるが、「戦後」の「平時」に於いて、ソ連や中共(文革)などが、満洲やモンゴルなどでやった強姦例などこそが、戦争犯罪ならぬ「人道に対する罪」であろうが、そうしたことへの考察はまだまだであろうか? 北朝鮮の収容所に於ける看守などによる女囚への強姦例も多々ある。北朝鮮人権第3の道編の『北朝鮮 全巨里教化所 人道犯罪の現場 全巨里教化元収監者81人の証言を含む8934人による、北朝鮮の国内人権状況の証言集』 (連合出版)などは貴重な史料である。

こういった現在進行形の、より悪の大きい問題にも、現代史や人権問題の研究者や人権追及カメラマンたちは関心を持つべきであろう。当然、「女性国際戦犯法廷」ならぬ「共産諸国戦犯国際法廷」も開廷されるべきであり、そのための「裁判資料」ともなる研究成果を提示するためにも若い研究者の、さらなる向上心に期待したい。


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小松左京の『アメリカの壁』をトランプ世界と交錯させるのは面白いアイデアだけど、どちらかといえば『ベルリンの壁』『板門店の壁』と比較して、読みこなすほうが知性的ではないのかしら
(2017・5・20・土曜日)






小松左京氏の『アメリカの壁』 (ケイブンシャ文庫)を読んだ。文春文庫もあるらしい。といっても、これは数編の短編小説が収録されており、巻頭の「アメリカの壁」のみを読んだところ。

小松さんというと『復活の日』 (角川文庫)なとは、映画も原作もリアルタイムで読んだ(見た)程度。中学生の時、『日本沈没』 (カッパブックス)を愛読したことはあるが、SF小説はあまり関心がある分野ではなかった(ほかには星新一さんとかを少し読んだ程度)。地球寒冷化が議論されていた時、編著で1974年に『異常気象 地球が冷える』 (旭屋出版)という本をだしている。これはどう評価すべきなのかな? 

いま話題(?)の文藝春秋から、急遽電子板で、これが刊行されたので、目に止まった次第。というのもこんなふれこみ――――――。


SF界の巨匠・小松左京はアメリカが「壁」に 囲まれるのを予言していた? 注目の小説『アメリカの壁』を電子書籍で緊急発売!
 株式会社 文藝春秋は、『日本沈没』『首都消失』等で知られる、日本を代表するSF作家、故・小松左京氏の短編小説『アメリカの壁』電子版を2月10日に緊急発売いたします。
 今からちょうど40年前の1977年に発表されたこの作品には、「輝けるアメリカ」「美しいアメリカ」というスローガンを掲げて当選した孤立主義者のアメリカ大統領が登場します。そして突然、出現した「壁」によってアメリカは、外の世界との交通、通信が一切、遮断されてしまう、という設定です。

 この小説が、トランプ大統領が就任した後のアメリカを思わせることから、京都新聞のコラム「凡語」が紹介(2017.1.27掲載)。ネット上でも「いま読んでおくべき」「現実がSFに近づいた」と話題になっています。
 1982年に文春文庫で発売された短編集にこの作品は収録されていますが、その表題作『アメリカの壁』1作を抜き出し、電子書籍として単独で発売いたします。
 アメリカの“今”を理解するために、ぜひお読みください。


●小松左京ライブラリーからのコメント●
「アメリカを世界から完全に切り離すことで、その真の存在価値と、秘められた闇を描いた「アメリカの壁」 。
『日本沈没』は日本だけが沈んでいく、世界からもうどうしようもなく消えていくって話なんだけど、世界最大最強のアメリカを消そうにも沈没させられないから、「壁」にしたんだね。(『小松左京自伝』より)

 史上最強の超大国は、経済、軍事、外交、様々な形で全世界と結びついており、日本は、その関係性がもっとも深い国の一つです。
 新たなリーダーの登場で、かつてない道に進もうとするアメリカの闇を理解するためにも今こそお読みいただきたい作品です」
●作品あらすじ●

 突然、出現した「壁」によってアメリカと外の世界との交通、通信が一切、遮断されてしまった。にもかかわらず、「アメリカは生きつづけるだろう」と語る大統領のもと、アメリカ国民は意外な落ち着きをみせていた。アメリカに閉じ込められた日本人ライターは、こうした状況に不審感を抱き、真相を探りはじめる。

●本文より●

「――新しい意味での孤立主義者であった現大統領、この“すばらしく、美しく、ゆたかで、新しく、自由なアメリカ”を、汚れ、古び、混沌として厄介事だらけの“旧世界”から、切りはなしたい、と考えつづけていた大統領は、とんでもない事を思いついた……。」

「アメリカは、“外”の世界に、ひどくいやな形で傷つき、萎縮(シュリンク)しはじめた。そいつは認めるだろ? 今の大統領は、その方向をさらに強め、妙な具合にカーブさせた。彼は”幸福な新天地時代“のアメリカのノスタルジイに訴え、そこからの再出発を考えているみたいだった。」



大統領のフルネームが、モンローとか、パトリック・ヘンリーとかかつての「愛国者」と同じ名前にしたりしたあたりがミソか?  「ヘンリイ・パトリック・ジェイムズ・モンロー」と…。かといって、さほど、トランプとの類似性があるとも思えない。トランプが、メキシコ国境に「壁」をつくる云々と主張していたので、かろうじて「壁」の類似性があるかもしれないが。

まぁ、文中、アメリカは資源も豊富で、アメリカを当てにしすぎていた日本なんかは大変になるだろうが…なんて描写があるあたりが…ということだろうか?

僕にはあまり、ピンとくる内容ではなかった。

小松左京氏も、1974年に、編著として『異常気象 地球が冷える』 (旭屋出版)という本を刊行している。このころは地球寒冷化論が「流行」していたのだろう? いまの逆?  『アメリカの壁』が刊行されたのは1977年というから、サイゴン陥落(1975年)の直後。内向きのアメリカ云々といった論考は多々あった。

最近、新作『舞台をまわす、舞台がまわる – 山崎正和オーラルヒストリー』 (中央公論新社)を上梓した山崎正和さんなんかが、 『病みあがりのアメリカ』 (サンケイ新聞出版局)などを刊行していたかと。1975年だったか、。リアルタイムで読んでいたっけ? いやいや古本屋で買って大学一年の夏休みごろに読んでいたっけ? もう40年近く前のこと。記憶が薄れている。あのころ(いまも?)、山崎正和さんは嫌いじゃなかった?

『アメリカの壁』は、閉じ込められた日本人が、脱出を試みようとして、飛行機に乗って…というところで終る。これって、どちらかといえば、 「ベルリンの壁」に閉じ込められた東欧の世界では? 「壁」で国民を閉じ込め、そこから脱出しようとすれば、国境兵士が容赦なく射殺したシーンを彷彿させるから。いまなら「板門店の壁」などに覆われている北朝鮮ワールドではないか。脱北者を射殺する金王朝こそが『アメリカの壁』と対比させるべきでは?
オーウェルの『1984』といい、この作品といい、現実世界に厳然とリアルタイムで存在しているものと比較するのではなく、あやふやなものと対比させるのは、いかがなものかとも?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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日中間の難事件は「通州事件」「南京事件」そして「尖閣事件」へと続くのか? 文革時代の蛮行を日本軍のせいにされるのは御免!
(2017・5・18・木曜日)






広中一成氏の『通州事件 日中戦争泥沼化への道』 (星海社新書)を読んだ。


内容紹介→居留民二二五名死亡。見逃された予兆、責任逃れ、プロパガンダ
日中戦争開始から約三週間後の一九三七年七月二九日。北京からほど近い通州で、日本の傀儡政権である冀東政権麾下の中国人部隊「保安隊」が突如反乱を起こした。「通州事件」と呼ばれるこの反乱により、二二五名もの日本人居留民(うち一一一名が朝鮮人)が命を落とした。しかし、通州事件には、未だ多くの疑問が残されている。「反乱はなぜ起きたのか?」「予兆はなかったのか?」「責任は誰が取ったのか?」「事件はどう報道されたのか?」――本書では、これらの疑問に対し、数々の史料を駆使して検討を加える。事件発生から八〇年が経とうとしている今だからこそ、我々は感情的で不毛な議論を排し、実証的見地からその全貌を捉え直さなければならない。



通州事件に関しては、 『通州事件 目撃者の証言』 (自由社ブックレット) や、  加藤康男氏の 『慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件』 (飛鳥新社)も出ている。

藤岡信勝さん監修の『日本人が知らなくてはいけない通州事件 80年目の真実』 (英和出版社)も出た。拾い読みはしているが、まずは広中氏の本を読んだ次第。

著者は、内容紹介にある通りの筆致で、通州事件を論じている。帯文の「なぜ、中国人による日本居留民殺害だけこだわるのか?」「不毛な感情論を排し、惨劇の全貌に迫る」といったところ。この問題に関しては、そもそもの知識不足故に勉強の一端として。

この広中さんという人は面白いテーマを追っている。以前、こんな本を紹介した。以下再録的に。


広中一成氏(&梶野渡氏・語り)の『「華中特務工作」秘蔵写真 陸軍曹長梶野渡の日中戦争』 (彩流社)も、シナ事変(日中戦争)から太平洋戦争(大東亜戦争)時代の中国戦線の、ある意味でノスタルジックな光景を「証言」している本だった。

 梶野氏は1919年生まれで、1940~1946年まで軍人として中国戦線にいた。現在も90歳を越えて存命。もっぱら宣撫・特務工作を担当したこともあって、現地での戦場写真を数多く撮影し、戦時中に一時帰国した時に持ち運んだために、戦後も私物として秘匿することができたという。それらを、大学の関係者との戦時体験の聞き語りの際に提示し、これは貴重だということで、その聞き手の一人だった広中氏(1978年生まれ)がまとめ、あわせて聞き語りで当時の宣撫工作などの回顧を綴ったのが本書である。

 梶野氏は初年兵の時、苛められた体験から、古参兵になっても他を苛めたりせず、また中国人相手にも「ちゃんころ」などとバカにせずに名前で呼んだりして丁寧な応対をしたこともあって、現地に浸透することができたという。それはそれで「工作」の一貫と受け止める向きもあるかもしれないが、先ずは「人格」の問題であったといえよう。

 現地の文化財(酔翁亭記碑)の保護なども積極的に務めたとのこと。1942年に当地にあった酔翁亭記碑が戦火で破壊されたら大変なことになると考え、一部の反対があったにもかかわらず、それらを保護する措置を取ったことがあるという。理解ある上司もいたそうな。そのおかげで現地の中国人から感謝され、その碑の拓本をもらったという。

 ところが、戦後になって、この碑は日本軍が破壊したと中共側が言い出し、72年に、名古屋のデパートで開かれた中国物産展で、「碑は戦時中に日本軍によって破壊された」と説明されているのを知った梶野氏はすぐに抗議の手紙を現地の市長宛に送ったという。証拠となる写真も送付したとのこと。
やがて、調査の結果、碑の破壊は日本軍によるものではなく、1960年代の文革時代に紅衛兵によってなされたものであることが判明したという。

 ここは重要なポイントといえる。
 中国は、ことあるごとになんでもかんでも日本軍の破壊があったと称しているが(実際そうであることも多々あるだろうが)、実は文革時代による破壊だというものも少なくないという事実である。
 そうした意味でも貴重な書といえる。証拠となりうる写真などがあるわけだから。こういう生き証人が徐々に死亡によって消えている今、また、ことさら自虐史観的に証拠もなく「証言」だけで、「私とっても悪いことしたあるよ」と告白する詐話師も日本に多々いる以上、こういう写真付きでの「証言」は、より信頼感が持てる。
 若い著者は愛知大学で学んだという。愛知大学ときけば、ううむ……玉石混淆の中国研究者がいるような印象を持っているが……。

 異民族で戦時中であっても、中国文化に対して尊重の念を持ち、その保護に務めた軍人が日本にはいたというのに、それを自ら破壊して平然としていた文革時代や、その指導者の毛沢東などがいかに「異常」な存在であるかが分かるだろう。

 その点で、「南京大虐殺」の張本人(?)と目されることもある松井石根を描いた評伝でもある早坂隆氏の『松井石根と南京事件の真実』 (文春新書)もシナ事変(日中戦争)を考える上での好著である。(再録終り)



南京事件にしても、通州事件にしても、いろんな視点からの書物が出ている。これも言論出版の自由があるから。それを悪用して、吉田某サンのような「詐術」的な言論活動をする不届き者も出てくる。自然に淘汰されることを祈りたいものだが……。

それにしても、次に日中間で起こるのは「尖閣事件」だろうか? 現代社会にあっても、 海上での衝突…。映像やらなんやら、「偽造」「捏造」もありうるかも……。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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新日本出版社の『台湾少年の歌』があるなら、『チベット少年の歌』や『ウイグル少年の歌』や『南モンゴル少年の歌』があってもよかったのにと思うし、『村上春樹とスペイン』『村上春樹とイギリス』という本があるのだから、だったら『村上春樹と南京事件』なんて本もあってもいいかと?
(2017・5・14・日曜日)






昨日(土曜日)は、妻が珍しく「週末ギャンブル」に行かないというので、鎌倉に眠る「知人」の墓参りに一緒に行こうかと思ったのだが、強雨が降るとのことで見合わせてしまった。

ということで、まずは神田古書会館に行くものの、珍しく特に買いたいものはなし。年に何回かあるが……。買いたいものがないのは仕方ない。「おや?」と思ったものもあったが、3000円とか、そんなお値段だし…。黙殺?

天候も悪いので、軒先コーナーも出ていないので神保町古本屋街をじっくりと覗くこともなく、足早に「いもや」へ。を久しぶりに食す。ここに通いだして40年になる。特にご飯やキャベツの大盛りを頼んだことはないが、それは「無料」だろうか? 僕より先に来て注文して食べていた人は、ご飯を平らげて、また大盛りといってお替わりしていた。そして、無料の漬け物をそれに載せて…。体格はいささか太っているほう…。上には上がいるものと感心。僕のほうが先に店を出たので、「800円」だったか未確認だが…。それにしても味噌汁が赤だしでなくなったのだけは残念。それにしてもとんかつ定食が800円というのは安いのだろうか? 近年、とんかつ定食なるもの、「いもや」以外で食べた記憶がほとんどないから比較できない?

そのあと仕事場で少し仕事を片づけて、それから高円寺へ。

古書会館では、茨木晃氏の『スペイン史概説』 (あけぼの印刷社)、梁取三義氏の『愛と正義の谷間』 (彩光社)、ドラ・ラッセルの『タマリスクの木 ドラ・ラッセル自叙伝』 (リブロード)、梁学政氏の『台湾少年の歌』 (新日本出版社)を購入。4冊で合計1100円。

会場周辺、やけにタバコ臭かった? 広場入り口脇の喫煙可能のところには人気はなかったが…。より奥のほうで古本市関係者が吸っていたのだろうか…。タバコの欠点は、悪臭が漂うところにあり。「建屋のない原発」と同じ。そういうところで吸うなら、せめて「電子タバコ」なら、そんなに悪臭が周辺に漂うことはないだろうが(密閉した部屋だと、電子タバコとて問題があるかも)。
国会も共謀罪や9条改正以上に、喫煙空間の合理的制限をめぐって「正論」が通るようにしてほしいものだが…。中途半端な決着になったら、オリンピック開催は止めたほうがいいね。

勿論吸いたい人は、人のいないところでなら吸える自由はある。それを保障した上で、他人が近くにいるところでは吸う権利はないのであって、それに違反する人からは罰金を取って、その金やタバコ税の一部を使って、人口密集地で二重ドアの消臭シャワーつきの喫煙ルームを建設維持するように心がければ、共存共栄も可能だろうに…。あと、せめて、料理店など営業時間のうち、半分の前半は「完全禁煙」にするとか、そんな中途半端な妥協でもいいから「一歩前進」すればいいのに……。飲食店もそれぐらいの代替案を提示するぐらいの器量はないのか? 喫煙に晒される従業員がいたら、時給に「危険手当」を上乗せすることも必要になるだろうが…。そして認知症の高齢ドライバー以上に、認知症の高齢喫煙者による「失火」も重要な問題だろうに……。
ともあれ、 『台湾少年の歌』は、この前、つちうら古書倶楽部で購入した尹世重氏の『赤い信号弾』 (新日本出版社)と同じシリーズの一冊だ。子供向けの本。ルパンとかホームズとか世界の名作シリーズという感じ。箱入り。しかし出版社が、日共系の新日本出版社だから、当然うさん臭いだろうと思って手にした。

訳者の笠原良郎氏が、左翼イデオロギー丸出しの解説を書いている。1967年の訳出だから、その当時の日本共産党の考えを反映もしているのだろう。

戦前は日本の植民地統治で苦しめられ、戦後は蒋介石・国民党に支配され、2・28蜂起があった云々と述べる。一方、大陸は中国共産党によって解放され、 「社会主義建設が着実な足取りで開始」し、台湾の人々も「暗黒政治を終わらせ、明るい台湾を取りもどす唯一の希望として、民衆が共産党を熱烈に求めているようすが(本書では)えがかれています」と嘘八百(?)を書いている。 「台湾の民衆は、自分たちの生活を根こそぎ破壊する元凶が、国民党政府とその背後のアメリカであることを、はっきりと見ぬいていた」と。

今や韓国も台湾も自由で民主的な選挙が保障されている。中共や北朝鮮では、ホンコンも含めて、そんな選挙は未だに行なわれていない。「民主主義」のレベルではもはや勝負あったというしかあるまい。

寺尾五郎の北朝鮮ヨイショ本といい、こういう少年向けの荒唐無稽な「駄作」の数々を新日本出版社は出していたということになろうか(勿論、読むに耐える本も出してはいるだろうが、どうせ出すなら『中共少年の歌』とか『チベット少年の歌』とか『ウイグル少年の歌』とか『南モンゴル少年の歌』なんて作品を日本人作家を使ってオリジナル企画で出せば良かったのに?)。
少なくとも、新日本出版社と同じ傾向(?)のある岩波書店でさえも、楊海英氏の『墓標なき草原』などを出している。南モンゴルに於ける中共文革時代(今も?)の野蛮な行為を告発した書。本当の意味での良心的出版物といえる。

ともあれ、古本屋や古本市に行くと、こういう「チンキな本」を発見する楽しみがあるから止められない?

夕方、ちょっとした会合が都内にあったのだが、いろいろと雑用多く、出席できないまま帰宅。調布パルコの古本市もやっていたが、この前は行けたが、今回は行く暇なし。調布の蚤の市も雨天決行のようだったが行けず。古本コーナーもあったようだが…。

安いスペインワインを片手に、茨木晃氏の『スペイン史概説』 のスペイン内戦あたりの箇所を読んだあと、小阪知弘氏の『村上春樹とスペイン』 (国書刊行会)を少しひもとく。後著はちょっと専門書。積んどくになりそう…。吉岡栄一氏の『村上春樹とイギリス ハルキ、オーウェル、コンラッド』 (彩流社)まだ読了したが……。「村上春樹」という固有名詞も、いろんな「国」や名詞などとドッキングして本が書けそう。 『村上春樹とオーラルヒストリー』とか『村上春樹と南京事件』とか…。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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『赤い星は如何にして昇ったか 知られざる毛沢東の初期イメージ』を読みながら、『スパイは未亡人を残した』なんて本もあったことを思い出した。『赤い星』のエドガー・スノーがスパイだったというわけではないが…。『スノーは(逞しい反中の)未亡人を残した』とは言えるか?
(2017・5・12・金曜日)


1963年生まれの石川禎浩氏(京都大学教授)の『赤い星は如何にして昇ったか 知られざる毛沢東の初期イメージ』 (臨川書店)を読んだ。聞くところによると、高華という南京大学教授(故人)の人に、 『紅太陽怎麼様昇起的』をという本があるそうな。そのタイトルをもじったものかも?


(内容紹介)→革命家として認知される以前、毛沢東は世界で如何なるイメージを持たれていたのか。知られざる若き日の毛沢東像が浮かび上がる。その名は轟けども姿の見えない毛沢東――政府官報に掲載された太っちょ毛沢東はいったい何者なのか。傑作ルポルタージュ『中国の赤い星』によって毛の素顔が明らかになるまで、偉大なる革命家は世界で如何なるイメージをもたれていたのか。世界中に散らばった毛沢東像の断片を拾い集め、本場中国の人びとも―あるいは毛本人すら―知らない、若き日の毛のイメージを浮かび上がらせる。『中国の赤い星』によって覆されるそのイメージとともに、同書が「名著」の高みへと昇る過程を描く。

【目次】
はじめに――謎の毛沢東像
第一章 知られざる革命家
第一節 毛沢東その人 / 第二節 中国政界情報誌の毛沢東伝――中国初の毛沢東伝 / 第三節 一九三〇年代初めの内外人名録での毛沢東 / 第四節 コミンテルンという組織 / 第五節 コミンテルンはどれほど毛沢東のことを知っていたか

第二章 マオの肖像――イメージの世界
第一節 欧米は毛沢東をどう見たか――支援者の描いた「さえないおじさん」 / 第ニ節 「毛沢東死せり」――コミンテルンの流した訃報 / 第三節 毛沢東肖像画の登場 / 第四節 ロシア人エレンブルグの見た毛沢東――国外最初の毛沢東伝 / 第五節 雨傘を持つ革命家

第三章 国際共産主義運動への姿なき登場
第一節 毛沢東を持ち上げる王明――初の著作集の出版 / 第ニ節 ハマダンの毛沢東伝 / 第三節 「毛沢東伝略」――中国共産党員によって初めて書かれた毛沢東評伝 / 第四節 モスクワの毛沢東伝――コピー・アンド・ペーストの世界 / 第五節 高自立のその後

第四章 太っちょ写真の謎
第一節 太っちょ毛沢東の初登場――山本實彦著『支那』 / 第ニ節 朱徳写真という手がかり / 第三節 太っちょ毛沢東を掲載したのは誰か / 第四節 波多野乾一の中国共産党研究 / 第五節 外務省情報部――国民に何を伝えるか / 第六節 あの太っちょは誰か

第五章 スノー「赤い中国」へ入る
第一節 絶妙だった取材のタイミング / 第ニ節 同行者と仲介者――ハテム、馮雪峰、劉鼎 / 第三節 届かなかった荷物――劉鼎と「魯迅のハム」 / 第四節 妻ヘレン・フォスター(ニム・ウェールズ)の貢献 / 第五節 『赤い星』は毛沢東の検閲を受けたものだったのか

第六章 「赤い星」いよいよ昇る――名著の誕生とその後
第一節 「赤い星」誕生 / 第ニ節 寄せられる称賛と批判 / 第三節 『赤い星』英語版のその後 / 第四節 『赤い星』中国語版――『西行漫記』とスノー/ 第五節 人民共和国での『赤い星』―― 秘匿された名著 / 第六節 ソ連と『赤い星』 / 第七節 戦前・戦中日本での『赤い星』 / 第八節 戦後日本での『赤い星』


冒頭、これが毛沢東の写真だ!と、当時『週報』によって流布していた、まったく別人にしか見えない、フトッチョの毛沢東の写真を紹介。なぜ、こんなのが? との謎を追求することから本書は始まる。ユン・チアンの『マオ』 (講談社)は、スノーの『中国の赤い星』 (筑摩書房)を徹底的に論難しているが、それらは「こじつけだらけ」だと否定的。まぁ、イデオロギー云々よりは、中国の専門家はその本をおおむね批判的に捉えている。僕はこの『マオ』は、スノー批判のみならず、おもしろく読んだが…。ネバーセイネバーだから?

ともあれ、戦前、戦後の日本のシナ学者の中国、毛沢東分析なども紹介しつつ、知られざる中国共産党の謎を追求していく。エドガー・スノーの毛沢東などを取り扱った『中国の赤い星』 の舞台裏なども分析していく。共産党に検閲されて、いいように書いたのではないか。いやそうではない…と。

ちょっと「学者」ばなれした、軽快な(?)筆致なので、ついつい、ふむふむなるほどねと思いつつも、さぁてそうかな? と疑いつつも面白く読了した次第。

エドガー・スノーに関しては、池原麻里子氏の『夫、エドガー・スノーは毛沢東に騙されていた』 (諸君! 2006年6月号)というエッセイがある。著者もこの見解に関しては、少しあっさりとだけ触れているだけだが、スノーの評価をめぐって、中国共産党自体が大きく変動があった点などを池原氏は前段で指摘した上で、最後にロイス・スノー夫人(未亡人)への電話インタビューもしている。

「中国政府は夫のエドガー・スノーを模範的尊敬すべきジャーナリストと称賛していますが、実際に中国のジャーナリストがスノーのような執筆活動をしたら、ただちに投獄されてしまいます。まったく偽善的としか言いようがありません。中国政府による言論統制は文革時代と変わっていないのです。彼らはスノーを自分たちの都合のよいように利用することにしか興味がないのです。これに同調するわけにはいきません」
(最後の訪中の時)「夫は病気で体が弱っていたので、これが最後の訪中になると認識していました。ですから可能な限り自分の目で確かめて、真実を探り出そうと試みたのですが、中国側がありとあらゆる手段でそれを阻止したので、とても不満に思っていました。」
「そして『中国の赤い星』で描いた革命はとても将来性があると期待していたのが、最後の訪中では現実がそれを裏切る結果になっていたことにすっかり傷心していました。彼は今日の中国の姿を決して是認しなかったでしょう」


石川氏は、この証言を前にしても、

「『スノー未亡人』はいざ知らず、スノー自身が、『赤い星』を書いたときの自分は、毛や共産党にだまされていたのだと認めたことはないはずである。それを認めることは、『赤い星』の価値はもとより、おのれのジャーナリストとしての生涯も誇りもすべて否定することにほかならないからである」と反論しているが……。

でも、スノー夫人の発言を見る限り「だまされていた」と認識していたのは間違いない事実ではないだろうか?
ともあれ、取材当時、未亡人は85歳だったとのこと。もう生きていないだろうか。

そういえば、昔昔、筑摩書房で、この『中国の赤い星』の編集を担当した方の話をうかがったことがある(当時、重役だったか)。もう20年ぐらい前。 何をうかがったか細かいことは記憶していないが……。一緒に聞きにいった「知人」も鬼籍。スノー未亡人は? 生きていれば百歳近い…。

ふと、「未亡人」という言葉で、ウィリアム・コーソンの『スパイは未亡人を残した 上下』 (文藝春秋)なんて本もあったことを思い出した。スノーがスパイだったというわけではないが…。 『スノーは逞しい反中の未亡人を残した』とはいえそうだ。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!

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