古本虫がさまよう 思想
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平成の世に甦る「竹山道雄」は、思想家の「金メダリスト」だ 「司馬史観」を上回る「竹山史観」
(2016・11・11・金曜日)





『ビルマの竪琴』 (新潮社)の著者である竹山道雄氏を知る人も少なくなっただろうか。辛うじて僕は謦咳に接したことがある。
ともあれ、 『竹山道雄セレクション Ⅰ 昭和の精神史』 (藤原書店)が刊行された。慶賀のいたり!

『昭和の精神史』は、新潮文庫や講談社学術文庫にも入っていたかと。藤原書店の本には、それ以外にもいろいろとエッセイなどが収録されている。 「ペンクラブの問題」は、パステルナークのノーベル文学賞受賞に対する日本ペンクラブの対応を批判した、来日中のアーサー・ケストラーの言動のことに触れている。一読正論! このころ、逆にケストラーの真摯な問いかけを、軽視したり批判したりしていた進歩的文化人たちが夏のゴキブリほどいたものだ(今も?)。

この前紹介した宮田昇氏の『小尾俊人の戦後 みすず書房出発の頃』 (みすず書房)の中に、小尾氏の日記(1951年)や「月刊みすず」の編集後記などが収録されているが、その中で、 「在日米人の奇矯なる日本趣味は御自由なれど、彼らの鼻持ちならぬ文人趣味と優越感にたいし、これまた劣等感の権化たちジャーナリストが阿諛根性まるだしの万歳。国際的ゴロツキ・ケストラーにしてやられ、何トカ基金のヒモツキで風見鶏を仰付けられている雲助の見分けもつかぬとは、何とお人好しの国であろう!」(1959年9月)と書かれているのには、いささか興ざめ。差別語のオンパレード。土人なみ?

ここで小尾氏が批判しているケストラーとは、アーサー・ケストラーのことであろう。1959年(昭和34年)に来日した際、日本ペンクラブに対する声明で物議をかもしたことがあったかと(この時、ケストラーの通訳をしたのは、たしか高坂正堯さん)。それは、パステルナークの『ドクトル・ジバゴ』 (時事通信社ほか)のノーベル賞受賞にまつわるソ連の嫌がらせに対して、きちんとした態度を示さない日本国内作家たちの「容共リベラル」的対応への批判であり、ケストラーの批判はもっともなことと僕は感じている。
そのあたりの経緯は、石原萠記氏の『戦後日本知識人の発言軌跡』『続・戦後日本知識人の発言軌跡 』 (自由社)に出ていたかと。石原氏はケストラー擁護派だった。「何トカ基金」関係もあったかと? その点で、小尾氏と石原氏とは対比列伝も可能かもしれないけど、 『石原萠記の戦後 自由社出発の頃』なる作品もあってもいいかもしれない? もっとも、石原氏は「反共リベラル」の立場に近い。日本の天皇制度にも一線を引いての立場かと。保守主義者ではなさそう。小尾氏と共通する土壌もあるかもしれない。

ともあれ、小尾氏がそういう知的態度だったから、アーサー・ケストラー の『 ケストラー自伝 目に見えぬ文字』 ( 彩流社、1993 )が、みすず書房から刊行されることはなかった? でも、レイモン・アロンの自叙伝、『レーモン・アロン回想録1&2』 (みすず書房)は訳出されているから感謝? 退社後であろうが、トニー・ジャットの本もみすずから出ている。

それはともかく、秦郁彦氏が解説(「竹山史観」の先駆性)を書いている。ううむ「東京裁判史観」をいち早く批判した「竹山史観」は「司馬史観」や「半藤史観」よりも立派かもしれない? 秦氏は、竹山さんの授業を聴いたこともあるそうな。牛村圭氏も一文(「竹山道雄にめぐり会えて」)を寄せている。

私淑であれ、謦咳に接してであれ、活字を通してであれ、尊敬できる物書きと出会えること喜ばしいことだと思う。僕にとって、竹山道雄さんは、そんな物書きの一人だ(ほかにも数人いる)。

ジキルとハイドではないが、「ハイド氏の裁判」というエッセイも藤原書店版には収録されている。

あぁ、仕事を離れて、こういう重厚長大本(570頁以上・値段4800円・税抜き)を一冊もって、汽車に乗って数日温泉宿にでも出かけるというのもいいものではないか。この本一冊あれば、かなりの時間を潰せるだろう。読み終えたら、再読するのもいい。『昭和の精神史』は何度となく再読した数少ない本だ。

しかし、現実は厳しい? 通勤電車でこの嵩張る本を読むのは物理的に困難だ。

とりあえずは、ジキル本は置いて、読みかけだったハイド本、草凪優氏の『人妻、預かります』 (双葉文庫)はすでに読了ずみ。ハッピーエンド(?)でなにより。引き続き、葉月奏太氏の『奥様は金メダル』 (双葉文庫)を読了。
カバーがイマイチの双葉文庫にしては、岐阜好き、いや義父好きの東凛さんのセミヌードを起用している点は評価できる?

内容紹介→大学卒業後、流されるままに実家の酒屋で働く田代聖一郎は、地元商店街の夏の一大イベント「浅羽サンバカーニバル」にも無関心。だが、配達先で待ち受けていたパン屋の美人妻、美登里から思わぬことを告げられる。「あなたを第18回人妻五輪の審判員に任命します」――実はサンバカーニバルの裏で4年に一度、商店街№1の金メダル奥様を選ぶ秘密イベントが開かれていたのだ。童貞の聖一郎は人妻たちの濃厚な性技を体を張って「ジャッジ」していく!長編書き下ろし。

いやはや、本当にバカバカしいストーリー展開なのだが、こんなことがあったら楽しいなとは思わせてくれる。童貞でないと審判員にはなれないというのもミソ。金メダルを取るためには、手段を選ばないということで、人妻の中には「違法ドラッグ」を使ってでも…(?)。そんなドーピング検査など、パロディも出てくる。「パイズリ早イカセ」競技などもある。ううむ……。4人の人妻相手に、そういうことができるとは……。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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キャロル・グラックよりジェイソン・モーガンがいい!
(2016・9・26・月曜日)





今日(2016・9・26)発売の「ウィル」(2016年11月号)の広告で、ジェイソン・モーガン(1977年生まれ)の「(こんなに恥ずかしい日本国憲法)さっさと破ってゴミ箱に捨ててください」というインタビュー記事があることを知った。ちょうど、彼の、日本での処女作『アメリカはなぜ日本を見下すのか? 間違いだらけの「対日歴史観」を正す』 (ワニブックス)を読み終えたところだった。この本、訳者名もないから、本人自ら執筆したのだろう。日本語も達者のようだ。

(内容紹介)→米国歴史学会を痛烈に批判し話題となった新進気鋭の米国人歴史学者、初の著書!
「日本について学べば学ぶほど、『自分の国の見方がおかしい』と思うようになった」
「なぜ日本だけが謝罪を求められるのか?」先の大戦において、米航空母艦の乗組員であった祖父から
「国の為に自分の命を捧げる日本の特攻隊員の潔さ」を教えられたのをきっかけに日本研究の道を志した
気鋭のアメリカ人歴史学者が、偏見に満ちた米国の「対日歴史観」に喝を入れる! 日本が新しい一歩を踏み出すための必読書。
アメリカはなぜ日本を見下すのか?その答えを一言で表現すれば、アメリカの政治、学会、 メディアが、人種差別的、進歩主義的なリベラル陣営に よって支配されているからである。日本人自身が戦後教育によって自虐的歴史観を刷り込まれてしまったということも否めない。しかし、そのような状況を作ったのも結局アメリカである。私がいきついた結論は、アメリカのみならず
世界が抱く誤った対日歴史観を早急に再検討する必要があるということだ。
――「はじめに」より



幼少の時、近所に住んでいた日本人家庭と接触し、日本に関心を持つようになったという。基本的には、アメリカのリベラル教育を受けて、太平洋戦争にしても、もちろん、アメリカが善玉で、ルーズベルトはアメリカの危機を救った偉人と考えて成長したとのこと。しかし、祖父の対日戦争体験などを聞き、複眼的な視点から現代史などを見直すようになっていく。やがて日本に留学、中国なども訪問。そうした諸国遍歴を経て、南京事件や慰安婦問題などでも、アメリカの歴史学者の浅薄な歴史観を批判するようになっていく。
そうした実証的な歴史見直しを行なう「歴史再審論者」(歴史修正主義)が、ナチスのアウシュビッツ虐殺はなかったといった陰謀論者といっしょくたにされたり、また「人間が月まで行ったことを疑う人や、エジプトのピラミッド宇宙人が作ったと主張する人や、飛行機雲は政府が市民を支配するために撒き散らしている麻薬だと喧伝する人などと一緒くたにされてしまった現在の風潮は、非常に残念であり、危ういものだ」と指摘しているが同感だ。

近年、ヘンリー・ストークスさんの『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』  (祥伝社新書)やケント・ギルバードさんなどによる「日本評価本」「進歩的文化人」批判の書が出るようになってきたが、植村隆朝日元記者をアメリカ講演行脚に招待するようなキャロル・グラックさんのようなリベラル左派の日本現代史研究者を批判しうる若手研究者として今後を期待したい。ケビン・ドークさんも、最近、一般向けの本として『日本人が気付かない世界一素晴らしい国・日本』 (ワック)を出しているが、まぁ、こういう人が、日本大使、日本公使やそれに準ずる公的な肩書を得て、広島長崎のみならず靖国神社に参拝していけば、いい時代になるのだろう。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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クリントンとトランプ ----アメリカのネオコンはどっちに投票するのか? ともあれ、究極の「五十歩百歩」の不毛の選択---プーチンと 習近平、橋本マナミと高崎聖子(高橋しょう子)ならまだしも?(2016・9・24・土曜日)






会田弘継氏の『トランプ現象とアメリカ保守思想 崩れ落ちる理想国家』 (左右社)を読んだ。
アメリカ保守思想の動向に関して鋭い本(『追跡・アメリカの思想家たち』 新潮選書など)をだしている会田氏ならではの最新アメリカ政治思想状況を論じた本。大変参考になる本だった。

ジョージ・ウィルやノーマン・ボドレッツやウィリアム・バックレーやアーヴィン・クリストリスなどの保守思想・評論家の名前もふんだんに出てくる。マッカーシズムについて一言、ふたこと触れているが、『ヴェノナ』と関連付けて、彼の「功罪」について「功」について触れていないのはちょっと残念? ともあれ、トランプはパット・ブキャナンの「アメリカファースト」と類似の立場との指摘もなるほどなと。ブキャナンなら、そんなに悪くないが?

トランプって、自伝(ちくま文庫に入っていたかと)は読んでないが、まぁ、そこそこユーモア感覚もある人のようだ。太ったおばさん、亭主の浮気に直面しても三行半を下せない中途半端な女権論者(?)のクリントンより、マシかなと思わないでもないのだが……。いくら考えても、両者は「五十歩百歩」か? 一昔前なら、「ソ連」か「中共」か? どっちかを選べと言われても、どっちもいや? しいて選べと言われれば……。どっちも選べない? いまだって、ロシアと中共、どっちを選べと言われても? プーチンと習近平とどっちがいい? まぁ、プーチン、一応「選挙」で選ばれているからねぇ?

ともあれ、会田氏によると、アメリカのいわゆる「ネオコン」はアンチ・トランプだという。政治的にも人種的感覚からしても、そうだと。ううむ、そうか。ならば……。当初、ネオコンは、共和党候補者の中では、マルコ・ルビオを支持していたという。そうなると、ネオコンは大統領選挙では誰に入れるのか? クリントンがまだマシということになるのかも? しかし、クリントン、メルケル、我が古女房……。中年デブ女は嫌いだ?
それはさておき、まだ人口的には、多数派の白人の中で、中間・下位層の白人の中にトランプ支持が多いという。その動向が今回の大統領選挙の勝利を左右するようだ。

この前、アメリカのある専門家に聞いたところ、アメリカ50州のうち、必ず共和党が勝つ、必ず民主党が勝つ州というのは大体決まっているとのこと。しかし、共和党が勝ったり、民主党が勝ったりする代議員の多い州がいくつかあって、その州をどっちが取るかで勝敗が決まるという。今回、そういう州では、比較的民主党が強いものの、白人不満層が多く、そこをトランプが取れば、共和党が勝利する可能性も高いとのこと。ううむ……。きっと、大統領選挙では共和党に入れても議会選挙では民主党に入れたり(その逆も)することもあるのだろう。

ニクソンが「フード・スタンプ」を拡大した点で、リベラルから評価されていることもあるそうな。そもそも、若い時、反共リベラルだったニクソンも大統領になったら文革中共(毛沢東)と妥協(対ソ戦略のためとはいえ)。だからトランプも大統領になれば、そこそこ、傲慢な(?)思想信条も、多少は軌道修正もされる? 紳士になれる? ううむ。でもネバーセイネバーだから。

それにしても難しい選択をアメリカ国民は迫られている。グラビアアイドルとしての橋本マナミさんと高崎聖子さん となら、これまたどっちを選ぶか悩ましい問題だったが、こちらは高崎聖子さんが、高橋しょう子と改め、グラビアアイドルからアダルトの世界に旅立つことによって、決着? さて、プレジデントの世界に旅立つのはどっちか? なんとなくトランプじゃないかな?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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プロパガンダ・ポスターの愚行に右も左も、過去も今もない!
(2016・9・22・木曜日・祝日)





田島奈都子氏編の『プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争 -135枚が映し出す真実』 (勉誠出版)を読んだ。

内容紹介→国民は何を見て、何を信じこまされていたのか
戦時期に政府とその外郭団体が製作したプロパガンダ・ポスターは、「戦争の勝利」を演出することによって国民の戦意を高揚させ、戦時体制の強化継続に絶大な効力を発揮した。
長野県阿智村に現存する、1937年の日中戦争開戦から45年の終戦までの約10年間に製作された135枚のポスターをフルカラーで初公開し、詳細に解説する。
社会状況を雄弁に物語る「時代の証言者」。



内容紹介にある通り、戦前、戦時下の戦意高揚、貯蓄増強などのために国債を買いましょう云々を訴えるポスターの数々を収録しつつ、寸評を加えたもの。今となっては、そういう寸評通りだろうが、当時は、素朴に信じてプロパガンダに惑わされた層も少なくなかったのだろう。
まぁ、いまだと、財務省あたりが、 「消費増税なくして、財政再建は不可能。子供たちに明るい未来のために消費増税を」といったプロパガンダポスターを作るのだろうか?
そういえば、 東京都水道局による「節水」を呼びかけるポスターというか、単なる文字だけのチラシがこの夏、あちこち貼られていた。

妻の実家が事実上、空き家状態になっているが、たまにしか行かないので、電気代やガス代の使用料金は使用料がほぼゼロに近いので微々たるもの。とはいえ、1000円前後はかかる。
しかし、水道代もほぼ同様に使用料はゼロに近くても、基本料金だけで一月2000円はかかる。お役所風情にいわれなくても節水するよね。

いくら「節水」して、使用料がほぼゼロでも、公共料金の中で、割高感覚を覚えるのは、水道料金だ。そもそも、お役所仕事で、家を建てる時、水道の口径をこうしなくてはいけないと一方的に決定。家の広さでたしか決めていた。家族人数は少ないから、家が広くとも、口径を大きくする必要もないのに、お役所仕事。そのため基本料金も割高になる。

今や空き家にもなれば、そんな大きな口径も不要。だが、電気料金のアンペアを50から30に下げるのは簡単にできて、その分、基本料金も安くなるのに、水道の口径を小さくするには「土木工事」が必要になる。工事費払って、口径を小さくするなんてそう簡単にはできない。そのため、水道局は、お役所仕事で、悠々と空き家からも旧来の口径の基本料金を獲得できる。こんなバカな「商法」はあるまい。

電電公社由来のNTTがかつての電話公債(?)というか接続設置料金7万数千円を持ち逃げしているのにも似た構図ではないか(今や固定電話を廃止(休止?)するにも、数千円の金を取るのだから、本当に準国家的詐欺行為というしかない。そのうえ、携帯料金として、固定電話システム維持のためにと称して、数十円だかふんだくっている。NTTにもJR東日本同様、不要な金は一円たりとも落とさないようにしなくてはということで、携帯もソフトバンクなのだが。ここもねぇ。最近は、使用料金の通知も、紙だと200円も取る。メール送信もパソコンならまだしも携帯宛に送信。見にくくてパスワードも忘れているから仕方なく紙にしているが、サービス精神悪化。昔は松中の給料になればと思ってガマンしてきたが、もう引退したし、ソフトバンクにも借りはなし? それにしても憎たらしいのは大谷。まったく! もっとも、昔は工藤も秋山も大嫌いだった。西武にいたから。ホークスも早く「外様」ではない監督をといいたい)。

ともあれ、プロパガンダポスターには、国も民間も右も左もなく、えてして針小棒大、得手勝手なところがあるもの。マイカ・イアン・ライトの『黙ってオレについてこい 文句がある奴ァ爆撃だ』 (パジリコ株式会社)は、アメリカの戦時下のプロパガンダポスターをそのまま転用しつつ、標語を現代風(イラク戦争前後)に変えてみたもの。

内容紹介→本書は、米国陸軍空挺レンジャー部隊員から反体制コミックブック・アーティストに転じたマイカ・イアン・ライトのアイデアから生まれた。面白くて煽動的な、このフルカラーのポスター・ブックは、第一次・第二次世界大戦時の有名なプロパガンダ・ポスターをリミックスしたものに、9.11以降の戦争・平和・愛国心に関するコメントを添えたものである。39枚のオリジナル・ポスターが、戦争の心理状態、ブッシュ政権、国土安全保障、対テロ戦争、アシュクロフト司法長官、2000年のアメリカ大統領選挙、軍産複合体などを痛烈に笑い飛ばす、平和と抗議のメッセージをプラスして、新たな生命を吹き込まれた。



日本の戦時下ポスターなども、標語を変えてパロディ版を作ってみるのもいいかも(現在の北朝鮮版として流用可能かも?)。北朝鮮や中共のそれらも、同時進行でやると、尚面白いことだろう。でも、リベラルすぎる人たちは、そういうことはしないことが多い。パロディ精神にナショナリズム(ソ連、中共、北朝鮮、キューバ、ベトナムなどを「祖国」とみなし、そういう国々の行なう愚行・愚挙は、見て見ぬフリをすること)を持ち込むようなことはしないほうがいいと思う。純粋に楽しめばいいのだから。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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「民主社会主義者」のサンダースは、アウトサイダーだけどナイスガイ?
(2016・8・28・日曜日)






バーニー・サンダースの『バーニー・サンダース自伝』 (大月書店)を読んだ。

昔(1997年)出した本(『アメリカ下院のはぐれ者・アウトサイダー・イン・ザ・ハウス』に若干の加筆(「まえがき」と「解説」)をしてまとめたもの。市長選挙、下院選挙を無所属の民主的社会主義者として、共和党&民主党と、いかにして闘ったか。とりわけ議員になってから、共和党に妥協をするクリントン大統領、民主党主流派やギングリッチ保守派共和党の攻勢をいかに跳ね返していったか。そのあたりの筆致が面白い本だった。

しかし、下院議員までの話のみで、そのあと上院議員になった経緯やオバマ大統領時代や、今回の民主党党員となってクリントン(夫人)と大統領予備選を戦った話は、本人の弁では出て来ない。「解説」で出てくる程度なのが物足りなかったが。

彼が「右翼」として毛嫌いするギングリッチなども、経済政策に関しては、ポール・クルーグマン・ジョージ・パパンドレウ&ニュート・ギングリッチ・アーサー・ラッファーの『金持ちは税率70%でもいいVSみんな10%課税がいい―1時間でわかる格差社会の増税論』 (東洋経済新報社)なんて本も出している。この本は積んどくか? いや読破した記憶があるが。
サンダースも何度も金持ちからもっと税金を取るべきだと主張している。そういったサンダースの格差是正論が、正しいかどうかは別問題。そのあたりは議論もあるだろうが、民主的社会主義者としては国際水準から見て、かなりの「左派」にはなるだろう。だが、アメリカ国内の保守的な民主党勢力を批判しつつも、法案によっては、意外と共和党保守派と「共同歩調」を取ることもあったようだ。そのあたりの経緯も書かれている。

解説にも出てくるが、「サンダース下院議員は、ノースカロライナ州選出のウォルター・ジョーンズ下院議員のような共和党保守派と、貿易政策、対外投資、アメリカ軍のイラク撤退工程表策定といった多様な問題でよく共闘した」とのこと。「敵の敵は味方」ということも世の中にはよくある。
そういえば、TPPに関しては、サンダースもトランプも同じく反対ではないか。アメリカ大企業が安い賃金を求めて中国などに進出することによって、国内の工場が閉鎖され、雇用が減り、失業する労働者への支援も呼びかけている。ある意味で、「アメリカファースト」の主張もしている。

ベトナム戦争や湾岸戦争やイラク戦争など、アメリカ軍派兵には一貫して反対しているサンダースだが、「私は不戦主義者ではない。恐ろしい体制のもとで、他にとりうる手段があっても、戦争が正当な場合はあると信じている」とも語っている。このあたり、戦争は絶対反対と叫ぶ単細胞型平和運動屋(空想的平和主義者)とは一線を画しているといえようか。

僕は北朝鮮などを含めて、愚鈍系独裁者が武力をもって他国を威嚇するのは嫌いだから、そういう勢力を民主主義的手法(経済制裁など)で締めつけ打倒することには賛成する。ベトナム戦争とて、やはり国際共産主義勢力の拡大阻止の上で、やむをえない戦争であったと見ることも可能だろう。もちろん、実際に戦場に行くことになるアメリカ人たちが、反対運動をしたくなるのも無理はないことではあっただろうと思う。
そのあたりは、日本で、反戦、ベトナム戦争反対と叫んだり、ベトナム戦争賛成と主張するのとは次元の異なる真剣さがアメリカにはあったことだろう。

それはさておき、国防費の不正な支出に関しても、「おもしろい左右連携をつくりだした」「下院議員クリス・スミスは、保守的な共和党員であり、私はほんの少ししか面識がなかった。彼は妊娠中絶の権利に反対する主な議員としてよく知られている。しかし、ロッキード・マーティンは彼の選挙区の工場を閉鎖し、そこには三千人の労働者が雇われていた。スミスは、この閉鎖はペンタゴンの資金援助によって進められたと確信していた。私がこの解雇促進プログラムを終わらせる修正案を提出すると、スミスは支持してくれた」と。

中絶問題でも、サンダースはその権利擁護を主張している。同性愛問題でも。

普通の日本人としては、まぁ、中絶などに関しては、強姦などそういう妊娠は当然、中絶の対象にしていいと思うが、アメリカの保守派は、中絶でも産むべきという人が少なくないようだ。そのあたりはキリスト教的信念の故なのか理解できないが…。もっとも、事前診察でダウン症の子供が生まれると分かっても、そういう人は中絶をしないというから、それはそれで首尾一貫していて立派な考え? 尊重はできる。でも、中絶する医者を襲ったりするのは行き過ぎ?
通常の夫婦関係がありながら中絶するという手合いには、まぁ、なるべく医療保険を適用しないとか、嫌がらせではないが、経済的負担をそういう中絶夫婦に強要するのは、そんなに間違ったことではないような気もするのだが(個々人の「快楽」の結果を、「税金」使ってまで安易に処理するのは税金の無駄遣いでは?)。
「中絶天国」と言われる日本にいると、そういう中絶を減らすだけでも、人口増加につながるのではないかと思うのだが。まぁ、中絶は、貧困、保育園が少ないからだとか言い出す人もいるのだろう。

外国人旅行客が増えてきたからホテル不足になるので、これからは「民泊」だとか騒いだりしているけど、そんなことするより、ラブホを適宜「改造」するなり、ユニークな日本文化施設として外国人観光客(新婚客?)に「推進」することをすれば、部屋不足もすぐに解消するのではないか。ラブホを「格下」に見て考えるお役所仕事からは、そういう発想が浮かばないのかもしれないが、放っていても、民間のラブホ業界が、「草食化」している層以外の「需要先」として追求するようになるだろう。むしろお役所が考えるべき対策は、ラブホへの「規制緩和」ではないか。一般の住民の施設より、ラブホのほうがはるかに宿泊専用施設として効率的ではないか。JR同様、アタマが硬いと、つまらぬ民泊対策などに時間と金を費やすのだろうが。僕がサンダースのような議員なら、国会で、ラブホの有効活用によって、外国人宿泊不足問題を解消するように質問するだろうに?

ともあれ、サンダースは共産主義者ではなく、「容共リベラル」でもなく、最左派の民主的社会主義者なのだろう。この本の原題は「アウトサイダー・イン・ザ・ホワイトハウス」。「アウトサイダー」は「はぐれ者」ということだが、まぁ、英国では、こういう感じの人(?)コービンが英国労働党党首になった(その地位の継続は危ぶまれているが)。サンダースとてあと一歩で,少なくとも民主党の大統領候補者になったかもしれない。

民主主義のいいところは、こういうことが「投票」によって表現(実現?)できることだ。共産圏や独裁国家ではありえないことだ。だから、民主主義に絶望することなく、信念をもって、明日の多数派になりうるということを信じて一歩一歩改革していくことが肝要だろう。

僕はレーガンも好きだったし、サッチャーも支持していた。サンダースはレーガンもギングリッチも嫌いなようだが、それはさておき、労組が尊大だった時代には、アンチ労組の視点での改革が必要だった。今は? 事情変更の原則というか、国際情勢、国内情勢の変更により、政策の比重は常に「修正」主義的に変更されるもの。

僕のような「つむじ曲がり」的な人間は、アメリカの政界だと、立ち位置が微妙かもしれない。ネオコンが一番近いような気もするが、内政に関しては民主社会主義も悪くはない? 中絶に関しては、独身、未成年、強姦の場合、容認することもありうるとの立場。しかし、既婚者などの中絶は容認するとしても医療保険などの適用外にすべき…と考えるし。

昨日買ったばかりの久野収の『久野収対話集・戦後の渦の中で1 新しい市民戦線』 (人文書院)をめくっていたら、「改革者」編集部が聞き手となった彼の「感動的説得力の乏しい民社運動――民主社会主義を批判する」というコメントがあった。1965年8月号に掲載されたようだ。民主社会主義とは、民主主義と社会主義のいいところ取りを目指す折衷主義だとして、「思想内容としては非常にいいものです」「これの最大の欠点は、創造力に乏しい」「現実のダイナミックスの中では、まかり間違えば非生産的になって、絶えずいろいろあるものの中からいいものを抽象してきて、つじつまを合わせるような態度になりかねない。ぼくなんかが民主社会主義について感じる不満はそれですね」と。

久野さんにしては「正論」?

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