古本虫がさまよう スパイ
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週刊文春による「疑惑の銃弾」から、週刊新潮による「汚れた銃弾」まで…。スクープ合戦、産業スパイ、いろいろとあるものだと。モラルに反しても法には反しないのか?(2017・5・19・金曜日)






週刊文春編集部編の『文春砲  スクープはいかにして生まれるのか?』 (角川新書)は未読だが、その編集長の新谷学氏の単著 『「週刊文春」編集長の仕事術』 (ダイヤモンド社)は紹介したばかりだった。

「親しき中にもスキャンダルあり」だが、先週の週刊新潮のスクープ記事(週刊文春によく登場している元TBS記者・山口敬之記者の下半身スキャンダル)に対して、今週号では、「黙殺」するのか、「いやいやもっと女性スキャンダルありまっせ」と追い打ちをかけるのか、いやいや、「彼は罠に嵌められた」といった逆スクープを発するのか注目していた。

ところが、週刊新潮の今週号(2017・5・25)では、続報としての山口氏追及記事もあるが、それ以上に大きな扱いをしているのが、この記事。

「文春砲」「汚れた縦断」「スクープ至上主義の陰で「産業スパイ」新潮ポスターを絶え間なくカンニング!」なにせ10頁もの特集記事だ。

事前に、産経新聞などが5・17の朝刊で報じていたが、昨日(木曜日)の発売日、たまたま会った知人が週刊新潮を持っていたので借りて該当記事を読んでみた。知人によると、これは「文春社長辞任モノだな」と。ふうむ、なるほど。もしくは,編集長がまた休養?

新潮の記事は具体的で、中刷りポスターを秘かに入手して、コンビニで文春社員がコピーしている写真も掲載され、「顔」を出すのはいやだということで、この前の朝日新聞の著者インタビューの書評頁でも、中吊り広告で顔を隠していた新谷編集長も、直撃取材を受けたようで顔出しで記事中に登場している。

かつて週刊文春が、三浦和義事件で「疑惑の銃弾」と題して報じたことがあったかと思う。「文春砲」「疑惑の銃弾」のほうが良かった?

ともあれ、『文春砲 -スクープはいかにして生まれるのか?』の内容紹介はこうなっていた。

大物政治家の金銭スキャンダルから芸能人のゲス不倫まで、幅広くスクープを連発する週刊文春編集部。なぜスクープを取れるのか? その取材の舞台裏を、編集長と辣腕デスクたちによる解説と、再現ドキュメントにより公開する。

「なぜスクープを取れるのか」--それは週刊新潮の中刷り広告を見ていたから? まぁ、社内に文春と結びついた「第五列」がいたりしたら、新潮社内部のスキャンダルにもなるが、報道通りとすれば、取次会社の社員が、漏らしていたということで、一方的な被害者ということになるのだろう。文春からの内部告発が新潮にあったとも読める内容だし、そのあたりは文春内にも「裏切り者」がいたことになる? いや、善意の内部告発者?

よもや、同日発売のライバル週刊誌の記事内容を事前に察知し、特オチがないようにまでしているからこその「文春砲」だとまでは、角川の本には書いていないだろうが?

国家間のスパイ活動、諜報、盗聴は、合法、非合法問わず、いろいろとあるし、いわゆる「産業スパイ」もいろいろとあるだろう。モラル、紳士道はともあれ、用は「法律」に違反するかどうか…が肝要だが…。新潮の記事によれば、触れるとのこと。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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「真珠湾の日」に読了した、真珠湾直後の英米協調を描いたスパイ小説について
(2016・12・9・金曜日)




スーザン・イーリア・マクニールの『ファーストレディの秘密のゲスト』 (創元推理文庫を、12・8日読了した。何度も本欄で紹介してきたように、マギー・ホープを主人公(女スパイ)にした連作シリーズの最新刊(まだこの後の続刊ありとのこと)。

日本の真珠湾攻撃直後、チャーチルが米国を訪問。マギーも同行。クリスマス前後、英米同盟の絆を強めるのだが、国内の反ルーズベルト派は、さまざまな動きを展開。ルーズベルト夫人の評判を落とすための画策。そのために一人のホワイトハウス勤務の女性が「死亡」。その現場に、マギーは直面。そして……。マギーの恋人も訪米に同行。今夜はフフフ♡と思いつつも、邪魔が入り連日すれ違い。そして、彼氏はなぜかディズニーへ。

まぁ、英米のミニ旗入りのカクテルを飲もうとすると、その旗には「メイドインジャパン」の刻印があったり、フーバーFBI長官やフーバー元大統領の名前がしばしば登場し、盗聴の実態が描かれたり、チャーチルはいいとしても、英国の植民地支配を守るために助けるのはいかがなものか、チャーチルはジキルとハイドだという人もいたり、アメリカのインディアン弾圧とヒトラーのユダヤ政策とどこが違うという見方も出たり、黒人が死刑にされそうになったのを、いかにして阻止するかが重要なテーマだったり、KKKが出てきたり…。歴史の勉強にもなる本。

ちょっとルーズベルト贔屓的な筆致には、今回は「?」を感じないでもない。せっかくの大統領の暗号メモなども、12・7以前のものを解読したら「真珠湾」なんて文字があったなんて、ちょっと工夫したら、もっと面白くなったのに?

しかし、十分楽しめる小説として成功はしている。彼氏とのラブシーンがあまりなかったのは残念だが……。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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女スパイといえば、川島芳子か、赤毛のアンか、マギー・ホープか?
(2016・12・7・水曜日)





日下部一郎(陸軍中野学校一期生)の『決定版 陸軍中野学校実録』 (KKベストブック)を読んだ。
陸軍中野学校の創設、第一期生としての体験、謀略工作の数々が綴られていて、大変面白い現代史裏面となっている。スパイとして、007並の毒殺やら非合法活動のためのテクニックを学ぶ。もちろん、座学もある。そして、中国に派遣され、一般人を装い、中国人に接して、親しくなっていく。

「日毎に二人の(中国人)青年(精華大学出身)と親交を深めていった。久村を中国に理解のある日本の若い学究と信じて疑わなかった二人の青年は、すぐ打ち解けて、何でも隠さずに打ち明けるようになった。やがて、久村は(その中国青年の)口ききで、中国の上流家庭に同居して暮らすことになった」「久村はあり余る機密費で彼らを接待した」……。

まぁ、スパイというのはこういうふうに接近していく。今日でも、「反中」「反習近平」をひそひそと、もしくは公然と語る中国人留学生がやってきたとしても、要注意? それが美人留学生だったりしたら、ますます怪しいと思うことだ? 幸い、そういう人と出会ったことはないが? 油断大敵。

時には、久村なる男は、彼らに「暗殺」を提議したり、自ら抗日派の中国人医師を襲撃したりもする。そして、犯人は当然、自分以外ありえないのに、別の中国人が犯人として逮捕されたりして驚きもする。自分が犯人なのにと?。

ううむ、こういうことがあると、やはり張作霖謀殺は、日本軍ではなくソ連軍だったか?(なんて?)。久村は、女スパイこと川島芳子「暗殺」というか、北京追放にも一役買っている。
戦後もビルマ首相の亡命やら皇室関係者秘匿行動やらさまざまな謀略も。小説風の書き方だが……。

小説といえば、スーザン・イーリア・マクニールの『ファーストレディの秘密のゲスト』 (創元推理文庫)を読み進めている。やっと半分程度。真珠湾攻撃を受けて、ルーズベルトが対日宣戦布告。そのあと、チャーチルが訪米。女スパイこと赤毛のマギーも「タイピスト・秘書」として同行。ルーズベルト夫人の「リベラル」ぶりが描かれ、それがさまざまな事件・陰謀の発端となっていく……ようだ。その「リベラル」なところに、共感を持つか、こいつ、やっぱり「容共リベラル」だったな! ふふふ、窮地に落ちろ…と感じつつ読むか? どちらにせよ、ノンフィクション・ノベルとして楽しめる。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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名著再読! 原爆投下せずに本土決戦となっていれば--「もしアメリカ軍が日本の本土に上陸すると、百万人を超す死傷者が出ますよ」と「日の丸アワー」が脅していた以上……
(2016・5・19・木曜日)







オバマ大統領が、サミットが終わった後に、広島に立ち寄るということでいろいろと話題になっている。謝罪が必要かどうか…と。広島に行くのもいいけど、靖国神社にも寄ったら?とも。靖国神社はアメリカのアーリントン墓地だという人もいる。南北戦争で南側にいた兵士だっているではないか、でもそれでもそこに追悼の献花をするのがケシカランということになるのか?と。まぁ、いろいろと議論はあるけど、僕が日本の外務省の人間なら、現職は無理でも元職でもいいから、かつての「敵国」(戦勝国)側の公的な政治家などが靖国に足を向けるように働きかけるだろう。靖国神社を散策したり、遊就館の施設を見るだけでもいいだろう。まずは「見学」でも? 神保町の古本屋街を散策させつつ、気がつけば靖国に参拝させるとか?  謀略? アジアの国々の関係者を招くようにまずはすべきだろう。

ともあれ、歴史戦がらみでの宣伝活動をきちんと展開するべきだろうが、日本の政府機関はやることをやっているのだろうか。

最近、本棚にあった池田徳眞氏の『日の丸アワー 対米謀略放送物語』『プロパガンダ戦史』 (中公新書)、並河亮氏の『もうひとつの太平洋戦争 戦時放送記者がいま明かす日本の対外宣伝戦略』 (PHP研究所・二十一世紀図書館)を取り出してきた。一読したらしい形跡(赤線など)があるが、いずれも30年以上昔に刊行された本。紙も黄色ばんでいる。

とりあえず『日の丸アワー』を再読した(この本は、「日本の古本屋」にも出てこず、アマゾンなどでは高価格本となっているようだ。同じ著者の『プロパガンダ戦史』は「日本の古本屋」で出している古本屋もあるがそこそこ高価格。でもこちらは去年中公文庫版が出ているから、それでいいのでは。

復刊にあたっては、佐藤優氏の以下の推奨があったからのようだ。

文藝春秋BOOK倶楽部特別篇 戦後の名著「わたしのベスト3」
 世間ではそれほど有名でないが、私にとっての第一位は、池田徳眞(のりざね)『プロパガンダ戦史』(中公新書、一九八一年)だ。
 池田徳眞(一九〇四~九三年)は、徳川十五代将軍・徳川慶喜の孫で、東京帝国大学文学部を卒業した後、オックスフォード大学ベリオール・カレッジに留学し、旧約聖書を研究した。その後、外務省嘱託となりオーストラリアの日本公使館に文化担当官として赴任しているときに太平洋戦争が勃発する。
 一九四二年十月、交換船で帰国し、外務省ラジオ室で諸外国の短波放送を傍受する仕事を統括した後、四三年十二月から陸軍参謀本部駿河台分室で、米英の捕虜を使った対敵謀略放送を指導した。このときの体験を池田は『日の丸アワー―対米謀略放送物語』(中公新書、一九七九年)に残した。本書は、その理論編にあたる。〈対敵宣伝とは敵国民のリモコンであるから、ただ敵を知っているというだけでは不十分である。少なくとも、戦前にその国に三年以上は住んでいて、物事が起きたときに、その国の人と同じように感じ、かつ反応することのできる人でなくてはだめである〉という池田の指摘は、インテリジェンスの本質を衝いている。



そもそも区立図書館なら、どちらの本も半分以上の図書館で所蔵しており貸出可能だから、数千円出さなくとも読破可能。こういう時図書館はありがたい。それに、そこらの古本市なら100円ぐらいで見つかるかも。ブックオフは? バーコードが入ってない時代の本だから難しいかも?

『日の丸アワー』を再読し、『プロパガンダ戦史』も再読し始めたところだが、佐藤氏のコメントにもあったが、両書によると、池田氏は、太平洋戦争(大東亜戦争)開戦時は、オーストラリアの日本大使館で文化宣伝係として赴任していたそうな。
開戦とともに監禁。捕虜交換で昭和17年10月9日に帰国し、以後、外務省ラジオ室で、イギリス、アメリカ、オーストラリア、インド、中国、フランス、トルコ、ドイツ、ソ連等の短波放送傍受の仕事に従事。
昭和18年10月には九十九里浜などでアメリカの西海岸地域の中波の傍受にも成功(限られた時間帯だが)。そのあと、陸軍駿河台分室に移り、そこで陸軍参謀本部の肝入りで、銃後の敵国民の反戦・厭戦気分を醸成するため、アメリカ西海岸向けに短波による謀略放送を敢行することにした。日本軍の捕虜になった英米兵などを動員し、彼らを使っての反戦コントなどを放送したりもする。その捕虜の人選をまかされ、放送内容をチェックする使命を与えられた著者による体験手記だ。

御茶の水駅近くの駿河台の文化学院を借り受け「駿河台技術研究所」と偽称して、そこに捕虜を連れてきて、訓練し、NHKに出掛けては放送する--。
この職務を拒否した英国人もいたそうな。
戦後、敵に協力したということで、裁判にかけられた捕虜もいたという。その裁判の証言のために、著者はわざわざアメリカ本土の法廷にかりだされたりもしている。

以前、本欄で紹介した小林久子氏の『猫のしっぽ』 (文芸社)は、その「駿河台技術研究所」にて仕事をした女性の手記だ。

この本はこんな風に紹介をした。


 この『猫のしっぽ』は、一九二五年生まれで女学校を出たばかりで国策会社・伝単制作事務所(?)に一九四三年六月に義兄の親友の紹介で就職した著者の体験記のようだ。
「ここで見たり聞いたりした事を、家に帰って決して言わないで下さいね。防諜上まずいですからね」と釘を刺される。
ロシア語の出来る「勝田さん」という人が事務所に居て、「彼は、毎朝どこかへ電話をかける。相手はいつも同じらしい。みんなロシア語で、何をしゃべっているのかわからない。やたらとダーダーとやっている」「タイピストの太田さんの話では、勝田さんは以前共産党員で、ソ連に越境して行ったが、信用してもらえなくて、監獄へ入れられたので、又脱出して来たのだそうで、『赤露脱出記』などという著書があった」という。
 
おぉ、この勝田さんというのは勝野金政氏のことで、『赤露脱出記』(日本評論社)、『ソ連邦脱出記 入党から転向まで』(日露通信社出版部)、『ソヴェート滞在記』(千倉書房)の著者のことではないか。
これらの本、数年前に、やっと見つけて購入したばかり。以前『新潮』(平成13年12月号)で山口昌男氏が彼のことを紹介しており、それでこれらの本のことを知ってしばし探求中であった。まだ積ん読しているが、彼女の言う「勝田」さんとは「勝野」さんのことではないか。
 日本軍に協力する英米の捕虜や白系ロシア人などが、この事務所にやってきては宣伝用のビラなどを作っていたようだ。彼女は下働きの資料切り抜きなどの仕事が多くて実務の業務にはタッチしていないようだが、「企画資料というのを一寸のぞいて見たら、アメリカ人は、鼻をハンカチでかむが、日本人は紙でかんで、その度に捨てるから、日本人の方が清潔だとか、西洋人の目はくぼんで猿に似ているが、日本人の目はふくらんで、猿の進化したチンパンジーの方に似ているから、日本人の方が高等だと、さる学者がとなえたとか、あんまり敬服するようなことは書いてない……」と。
 戦況悪化により空襲を受けるようになるが、東京ローズがこの事務所には捕虜がいるぞと言ったので東京のど真ん中なのに空襲の心配はなかったともいう。が、会社を辞め地方に疎開していき、「終戦」を迎える。再就職先も疎開先での軍事関連の事務所だったが、八月十五日の夜は山の中の温泉宿でどんちゃん騒ぎをしたそうな。隠匿していた食糧を一気に開放したらしい。末尾に一九六八年記とあるが、刊行されたのは二〇〇三年。草思社を「買収」した自費出版の文芸社であるが、こういう佳作も出しているとは知らなかった。

 

空襲の心配がなかったということは、池田氏も『日の丸アワー』で触れているが、それが真実であったかどうかには疑問があるようだ。でも、タイムスリップして戦時中に戻ったら神田神保町界隈に潜むのがベターかも。

勝野金政に関しては、『日の丸アワー』では、駿河台分室の企画部に籍を置いていたとのこと。

土佐人の恒石少佐は、彼について池田氏にこう説明していたという。

「勝野君はソ連共産党の正式党員となり、ソ連の地方のオルグで数年働いていた珍しい人です。転向したと言っていますが、真実は分かりません。ただ憲兵がよく見張っていますから、分室の中ではなんでも自由に話して差支えありません」

ソ連からの亡命者やロシア語のできる軍人や憲兵もいたという。勝野氏は水を得た魚のように活動していたのだろうか。池田氏は、「彼から毎日のようにソ連での共産党の宣伝謀略や高等戦術について徹底的に教えてもらったから、たいへん親しくなり、その交友は今日までつづいている」と記している。なるほど。

『日の丸アワー』では、「日本とドイツをつぶすと、ソ連が強くなり過ぎて、アメリカの手に負えなくなりますよ」といった趣旨の放送もしていたそうな。
もっとも、戦争末期になると、ドイツ側は降伏の日まで平然と宣伝放送を続け、その論法は「アメリカさん、ドイツを潰すと、いまにソ連が強くなって、アメリカの手に負えなくなりますよ」というもので終始したとのこと。そのころになると、日本の論法は、「もしアメリカ軍が日本の本土に上陸すると、百万人を超す死傷者が出ますよ」という勇ましいものだったという。

ううむ……。日本側もアメリカの宣伝放送(ラジオ)を聴き取り調査をしていたが、アメリカ側も当然「日の丸アワー」などを聴き取り調査していたという。そういう宣伝放送の脅し文句も当然、アメリカ政府首脳に伝わっていたことだろう。だとしたら……。
アメリカ人からすれば、敵国もそう言っている以上、自分たちの戦死傷者を一人でも減らすために(また結果として、日本人全体の死傷者数をも減らせるために)原爆投下はやむをえなかった……という理屈は十分成り立つということになるのではないか?  屁理屈だと簡単に片づけることはできないだろう。とはいえ、降伏することを準備していた内実は暗号解読などで分かっていただろうが……。

まぁ、宣伝文句とはいえ、日本もドイツも本当のことを言っていた…とはいえるかも。

その意味で、「北進」か「南進」かという時に、コミンテルン、スターリン、ゾルゲの意向にそう形で、元朝日記者の尾崎秀実が執拗に中国を叩けと主張し、日米、日中関係の悪化を促進させた「責任」は重い(このあたりは佐々淳行氏の『私を通りすぎたスパイたち』文藝春秋を参照)。
あの時、せめて「北進」していれば、スターリンによる「粛清」の犠牲は減らせたかも。だが、その分、日本の軍国主義が延命したかは別にして、ナチスドイツが延命することになったとしたら、コミュニズムと何ら変わらない体制による被害者数は、そちらの支配地域では、より拡大することになったかも。考え出すと「イフ」の世界はキリがない。

池田氏による英文の『駿河台分室物語』という本が、名倉有一氏&名倉和子氏の翻訳などで編纂されているそうな。DVD-Video もあるという。非売品でいまのところ国会図書館などにはあるようだ。

勝野金政に対してインタビューをしている記録は、「歴史と人物」に何度か掲載されていた。聞き手は伊藤隆氏。あれも全文コピーして「積んどく」したままだったか? どこにあるのやら? 見つけたらそのうち読もう。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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(特集④)黄金週間・読破計画はどうなったか?「公約」を自己検証する―――
007はオナニーをしたか?

(2016・5・3・火曜日)






昨日(2016・5・2)は、ジャイルズ・ミルトンの『レーニン対イギリス秘密情報部』 (原書房)を読む予定だった。
 最近読んだ佐々淳行氏の『私を通りすぎたスパイたち』 (文藝春秋)や、吉野準氏の『情報機関を作る』 (文春新書)の関連書として読むつもりだった。しかし……。予定では4・29に読み終えているはずの重政氏や三浦氏の本もまだ100頁足らず? これでは……。

だが、この重厚長大本は、いままでの読破予定の二冊(重政氏800頁&三浦氏43字×19行・400頁)に比べると、本文は43字×17行で400頁ちょっと。これなら……と。なんと読了してしまった。なせばなる、やればできる?

一昨日予定変更で読了(速読)した佐々木太郎氏の『革命のインテリジェンス ソ連の対外政治工作としての「影響力」工作』 (勁草書房)に引き続き読了。やはり400頁ぐらいだととっつきやすい。しかも、スパイがテーマの作品だと、なんとなく読み慣れている感じもあって、スラスラと読めるのがいいのかも。

内容紹介→ロシア革命前夜の1916年から革命後の1921年まで、インドにも革命を起こそうとするロシアと、これを防ごうと決死の諜報活動をするイギリス秘密情報部との息詰まる戦いの記録。あらゆる人間の思惑を濃密に描いたロシア革命裏面史!

スパイものというと、第二次大戦前後のものが多いが、本書はそれ以前の、草創期の時代を扱っている。ロシア革命の「成功」に脅威を抱き、信念からもこれを打破しようとする英国スパイなども登場。

秘密保持のために「見えないインク」として「精液」を使って報告書を作成するなんてこともあったそうな。ううむ。
以前、水につけるとエロ画像が浮かぶという古本があって、それを購入したことがある。実際やってみると、いまだに画像が出てきて驚いたことがあった(かと記憶している)。

ともあれ、スパイも、精液が放出できないと、秘密報告書も書けない時代があったのだ。年寄りは無理(還暦ちょい過ぎまでならまだ可能か? 人体実験中? しかし一定以上の量がないと……)。

いろいろな化学反応により「見えないインク」の開発を研究していたある人物が、「精液で書いた文字はヨード蒸気にあてても可視化しないこと」を発見したそうな?

すると「女スパイ」は報告書を書けないのではないかと心配する向きが…。いやいや、女性だって、「精液」は無理でも「愛液」は出せるではないかということで、某病院に女性の「愛液」ならぬ「体液」のサンプルを実験用に入手しようとしたりもしたそうな。


「実際に」「精液を使って報告書を書いた者がいた。その報告書を受け取った者はどれだけ不快な思いをしたことか……」「コペンハーゲン支局のホルム少佐は、どうやらそれを瓶に蓄えていたようだ。彼の報告書は悪臭を放っていたので、書くたびに(古本虫註・「掻く度に」?)新鮮なものを使うように指示しなければならなかった」とのこと。

ううむ。ということは、「007」も、オナニーをしていたのかも?

またこんなエピソードも出てくる。

外交官ではなく、ジャーナリストとして「カバー」していたある英国スパイ(ランサム)は、なんとトロツキーの私設秘書エフゲニア・シェレピナと恋仲になった。
そのため「トロツキーの手紙や文書をタイプし、打ち合わせをアレンジするのはシェレピナの仕事だったので、ランサムはいきなり極秘文書や電報の内容を知ることができたのである」という。後に結婚もしてしまう。

そういえば、佐々淳行氏の『私を通りすぎたスパイたち』 (文藝春秋)にも、カンボジア駐在の日本の若き外交官がシハヌークの何人目かの「奥さん」と、ただならぬ関係になり、彼女から彼のプライベート情報も含めて入手することに性交し、いや成功し、詳細な報告書を提出していたという。逆のこともやられているのだろうが……。

ともあれ、『レーニン対イギリス秘密情報部』には、ソ連からの亡命者である、スペイン内戦時代にも、スパイとしていい味を出していた(?)アレクサンドル・オルロフも登場してくる。ううむ、この男、 『クレムリン 失われた星』 (鳳映社)という著書が訳出もされている、ユニークな元ソ連スパイ(亡命者)。その評価はいろいろとあるようだ。

というのも……。最近、ボリス・ヴォロダルスキー著『スターリンのスパイ アレクサンドル・オルロフの生と死』 (Boris Volodarsky、Stalin’s Agent The Life and Death of Alexander Orlov、Oxford University Press、2014)という本が出ているそうな。

彼の見立てでは、オルロフはいささか「針小棒大」なところがあって、ちょっといかがわしい誇大妄想的なところもあるスパイだったとのこと。それは面白そうだ。スパイ、軍事関係に強い原書房から訳出されないものか。勁草書房でもいいかも? 岩波書店でも?

『Stalin’s Agent The Life and Death of Alexander Orlov』の内容紹介→This is the history of an unprecedented deception operation - the biggest KGB deception of all time. It has never been told in full until now. There are almost certainly people who would like it never to be told.

It is the story of General Alexander Orlov. Stalin's most loyal and trusted henchman during the Spanish Civil War, Orlov was also the Soviet handler controlling Kim Philby, the British spy, defector, and member of the notorious 'Cambridge Five'. Escaping Stalin's purges, Orlov fled to America in the late 1930s and lived underground. He only dared reveal his identity to the world after Stalin's death, in his 1953 best-seller The Secret History of Stalin's Crimes, after which he became perhaps the best known of all Soviet defectors, much written about, highly praised, and commemorated by the US Congress on his death in 1973.

But there is a twist in the Orlov story beyond the dreams of even the most ingenious spy novelist: 'General Alexander Orlov' never actually existed. The man known as 'Orlov' was in fact born Leiba Feldbin. And while he was a loyal servant of Stalin and the controller of Philby, he was never a General in the KGB, never truly defected to the West after his 'flight' from the USSR, and remained a loyal Soviet agent until his death. The 'Orlov' story as it has been accepted until now was largely the invention of the KGB - and one perpetuated long after the end of the Cold War.

In this meticulous new biography, Boris Volodarsky, himself a former Soviet intelligence officer, now tells the true story behind 'Orlov' for the first time. An intriguing tale of Russian espionage and deception, stretching from the time of Lenin to the Putin era, it is a story that many people in the world's intelligence agencies would almost definitely prefer you not to know about.


そのほか、ミルトンの本では、モームやアーサー・ランサムなど、「作家」のスパイ時代の描写も出てくる。ランサムは要注意作家? 『アーサー・ランサム自伝』 (白水社)は積んどくしていたかと。読むべきか?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!


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