古本虫がさまよう 読書
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もしも、斎藤美奈子さんが百田尚樹さんの『カラスの楽園』の文庫解説を書いたなら―――「アマゾン」のブックレビューで、「せっかくの本文が、頭の悪い解説と編集者で汚されたという印象です」と書く人が出てくるだろうか?
(2017・5・11・木曜日)




斎藤美奈子さんの『文庫解説ワンダーランド』 (岩波新書)を読んだ。

内容紹介→基本はオマケ、だが、人はしばしばオマケのためにモノを買う。マルクス、漱石、松本清張。『武士道』『なんクリ』『永遠の0』──古典名作にベストセラーがずらりと揃う文庫本、その巻末の「解説」は、読み出すとどうにも止められないワンダーランドだった! 痛快きわまりない「解説の解説」が、幾多の文庫に新たな命を吹き込む。

ご自身も文庫解説をよく書いているとのことだが、それはそれとして、さまざまな「名作」の文庫解説を、時に比較考察分析(出版社によって解説者が違ったり、同じ出版社から刊行しても新装版になったりすると解説者が代わったりもするので)。

現存している作家ならば、著者の「承認」があっての解説者指名となり、悪口を書くこともなかろうが、死亡していれば…時にはヘンな解説もありうるかもしれない。「解説」が内容紹介ではなく、単なる著者との交友を綴るものがあったり…。

曽野綾子さんの『小公女』の解説が、植民地主義などを半ば肯定している筆法だとして、「困ったもんだな、曾野綾子」と皮肉ったりするのは、フェミニストらしい「困った筆法」?

ともあれ、 『坊ちゃん』や『伊豆の踊り子』や『ビルマの竪琴』や『友情』など読んだ作品もあれば、読んでない作品もあるので、そのあたり、僕などはそもそも「解説」の品質に関して論じることもできないが、「文庫解説論」としては、ひとつの「書評風エッセイ」として面白く読める本ではあった。

「図書」で連載していたとのこと。もう終わったのか?まだ続いているのなら、江藤淳さんの『一九四六年憲法 その拘束』 (文春学藝ライブラリー)の解説の比較論をぜひとも書いてほしかった。

これ、旧来の文春文庫『一九四六年憲法―その拘束 その他』だと、解説はたしか福田和也さんだったのではないか(旧来の文春文庫は「その他」もあった点でより分厚かったかと)。福田氏の解説はもう記憶にないが、まぁ無難なものだったかと。
ところが、文春学藝ライブラリーでは、それを再録するなり、福田氏に新たに書いてもらうということをせずに、なんと『永続敗戦論 戦後日本の核心』 (大田出版)の著者の白井聡氏を起用したのだ。その両者の文庫解説の内容も比較すると、唖然呆然とするような違いがあったと思う人もいるのでは?  そのあたり、斎藤節で論じていただけると、いろいろと参考になったと思う。

しかし……。へんなたとえだが、百田尚樹さんの『カエルの楽園』を新潮社が文庫化した時に、白井聡氏や斎藤美奈子氏に解説を頼むだろうか?  白井さんの本の解説を、「古本虫太郎」に頼んだりするだろうか? ネバーセイネバーか?

ちなみにアマゾンのレビューでは、この「解説者」(白井聡氏)に対して、こんな苦言が呈されている。

巻末の解説者は不要で不快! 投稿者 非公開者 投稿日 2015/11/11
江藤淳の論旨は明確で日本人ならば誰もが知っているべき事実を実証している良書なのだが、巻末の解説者が上から目線の解説を書いたがために、本書の価値を落とし、読者に不快な読後感を持たせた。江藤淳の評価は五つ星だが、解説者のためにマイナス星ふたつ。


中身には星五つだが、解説には星ゼロ! 投稿者 ゆうた 投稿日 2016/8/4久しぶりに本書を読み返したのは、今年の参院選挙で改憲派が衆参両院で2/3以上を占めたからです。
やっと、憲法論議を開始できるということですが・・・
中身は相変わらす素晴らしい。今こそ踏まえなければいけない議論の基が列記してある。
ところが解説に驚いた。
読解力がまるでない。時代遅れの左翼、というよりサヨクの理屈で江藤淳を批判したつもりになっている。
こんな解説を巻末につける編集者のレベル低下も著しいのだろう。
朝日文庫かと思ってカバーを見たら、文春文庫だった。「文藝春秋」が全く面白くなく全く売れない理由も分かった。
ま、そんなことより、せっかくの本文が、頭の悪い解説と編集者で汚されたという印象です。

白井聡は狂ったか投稿者 小谷野敦 投稿日 2015/11/14
形式: 文庫
なぜか『江藤淳と大江健三郎』を出したころに文春から送られてきたのだが、白井聡が解説を書いていたからわが目を疑った。もはや白井は、反米のためなら天皇制右翼の江藤すら利用しようという愚かな地点へとさまよいつつあるらしい…(以下略)。

まぁ、人それぞれではあるが…。江藤さんが生きていれば、この白井氏の解説を読んで、どう感じたことか?
文藝春秋の元常務だった斎藤禎氏の『江藤淳の言い分』 (書籍工房早山)の書名ではないが、「江藤淳の言い分(反論?)」を聴きたいものだ。大川隆法さんに頼むしかないか?

『親米か反米か 保守派知識人江藤淳の言い分・霊言』なんて本が出るかも?

その中で「あの解説はどう思われますか」「文春ともあろうものが……福田和也くんのものを再録するか、もしくは平山周吉くんか斎藤禎くんに書いてほしかった…」なんてことも?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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黄金週間に読むべき「重厚長大」本は如何にして選ばれたのか?
(2017・4・28・金曜日)



今年のゴールデンウィークは人によっては、今日あたりから有休をとって10連休なんていうのもありだろうか(4・28~5・7)。こちらはまぁ,よくいって暦通りかな?

とはいえ、年末年始やお盆など、数日休みが続くであろう時には中学生のころの夏休みなどの学習予定計画表みたいなものをつくって、一日一冊(分厚い本)を目指すことがしばしば。本欄でも、いつもその計画表を作成したりして、自己啓発に励もうとするのだが……。

例えば食卓(兼書斎)の上にはこんな本(ジキル系)が読破を待ち構えている。

①『西尾幹二全集 第20巻 江戸のダイナミズム  古代と近代の架け橋』(国書刊行会)→雑誌連載時一読し、文藝春秋から出た本も持っているのだが…。再読にチャレンジ…(無理かな?)
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②レム・クラシリニコフの『MI6対 KGB 英露インテリジェンス抗争秘史』 (東京堂出版)。佐藤優氏が監訳ということで、著者や訳者の名前より大きい活字でカバーに表記されている。帯も佐藤氏の上半身の写真。略歴紹介欄も、佐藤氏が「上」。ぱっとみると、著者が佐藤氏のように見える本だ。佐藤さんの「落合信彦」化が進んでいる? 落合さんもビッグネームとなるにつれ、原著者よりも大きな扱いを受けるようになったものだ。
それにしても、この本、内容的には原書房などから訳出されるような内容。東京堂が訳出するとは? ネバーセイネバー?

③石川禎浩氏の『赤い星は如何にして昇ったか 知られざる毛沢東の初期イメージ』 (臨川書店)。著者は京都大学教授で岩波書店からも何冊か本を出しているようだが、この本の「はじめに」だけを取り敢えず読んだ。面白い!? これは積んどくにしてはいけない(と思った?)。
でも、批判している(?)ユン・チアンの『マオ 誰も知らなかった毛沢東』 (講談社)も面白かったけど…。それにエドガー・スノーに関しても、池原麻里子氏の「『中国の赤い星』スノー未亡人の激白 夫、エドガー・スノーは毛沢東に騙されていた」(諸君!2006年6月号)なんて論文もあるから…。

内容紹介→革命家として認知される以前、毛沢東は世界で如何なるイメージを持たれていたのか。知られざる若き日の毛沢東像が浮かび上がる。その名は轟けども姿の見えない毛沢東――政府官報に掲載された太っちょ毛沢東はいったい何者なのか。傑作ルポルタージュ『中国の赤い星』によって毛の素顔が明らかになるまで、偉大なる革命家は世界で如何なるイメージをもたれていたのか。世界中に散らばった毛沢東像の断片を拾い集め、本場中国の人びとも―あるいは毛本人すら―知らない、若き日の毛のイメージを浮かび上がらせる。『中国の赤い星』によって覆されるそのイメージとともに、同書が「名著」の高みへと昇る過程を描く。

④正置友子氏の『イギリス絵本留学滞在記 現代絵本の源流ウォルター・クレインに魅せられて』 (風間書房)。
⑤草光俊雄氏の『歴史の工房 英国で学んだこと』 (みすず書房)。
④と⑤はどちらもちょっとリベラル(?)な人の英国で学んだことを綴ったエッセイ本。まぁ、トルコやエジプトなどへの関心はあまりないが、英国には関心があるので、関連書として参考になりそうな予感がして……。

⑥シェリー・タークルの『一緒にいてもスマホ』 (青土社)。スマホはもってないけど…。

10連休なら一日一冊で10冊ぐらいリストを掲げるべきだが…この程度かな。まぁ、新書(光文社)で、500頁という、ジョン・ロンソンの『ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち』も食卓にあるけど、読まないかな……。ハイド本もたまっているし…。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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読書(欲)と性欲は、人間力を高めるのか、人生の何の役に立つのか?
(2017・4・25・火曜日)




武田鉄矢氏の『人間力を高める読書法』 (プレジデント社)を読んだ。これは武田氏がパーソナリティをやっているラジオ番組『武田鉄矢今朝の三枚おろし』を書籍化したもの。ラジオでは、たしか数日かけて一冊の本を紹介している。それを「文字化」したもの。 『失敗の本質』 (中公文庫)など、硬派の本も多し。


以前佐々淳行氏の『私を通りすぎた政治家たち』 (文藝春秋・文春文庫)を取り上げていたのをラジオで拝聴したことがある(この本は、プレジデント社の今回の本には収録されていない)。そのとき、武田氏が、佐々氏の本の内容をかみ砕いて紹介するのだが、若干、あれ? ちょっと勘違い、誤読しているのでは? と思う箇所があったが、まぁ、ご愛嬌?

似たタイトルの本として、松原正氏の『人間通になる読書術 賢者の毒を飲め、愚者の蜜を吐け』 (徳間書店)というのもあった。30年以上昔に一読したが記憶はおぼろげ。

最近の読書論としては、林望氏の『役に立たない読書』 (集英社インターナショナル)や河野通和氏の『「考える人」は本を読む』(角川新書)なんて本もある。こちらは未読だが。

こういう読書論は、知らない本が紹介されていることもあり、その点で参考になることも多い。

まぁ、読書は安上がりの暇つぶし、趣味ではあることを間違いないと思う。

本屋や古本屋に週に一回通うのも、性風俗店に週に一回通うのも、「等価値」といえば、等価値だろうが……。コストは…? 昔、週刊文春で、川柳よりも面白い萬流コピー塾というのがあった。家元は糸井重里さんだったか。その宿題テーマ(本を読むのをすすめるだったか?)のコピーに、「その三万円を川崎で使うな」といった趣旨(かなり記憶は薄れていて、テーマにしても金額にしても正確ではないと思う)のものがあったかと。
当時は三万円ぐらいが相場だったか? この前、関内の先の黄金町界隈の古本屋を歩いた時、そのご近所に点在していたソープ店では「一万円」(9800円)ぐらいのお値段が表示されていたような記憶がある。デフレになって価格破壊でもあったのだろうか? 

「本の雑誌」でも、三万円の図書カードをもって、本屋で本を買う作家の行動的エッセイが連載されていたかと。

我が家では「古本市(古本屋)一カ所・一軒につき1000円以内」という遠足の小遣い制限のような命令を下す古女房がいるので、3万円どころか、一カ月で1万円を使うのも夢のまた夢……。

万が一、古女房が乗っていた飛行機が事故で墜落したら、少しは補償金ももらえるだろうか?  そうしたら、うるさいことを言われることもなく……。ううむ……? 得るものがあれば失うものがあり、失うものがあれば得るものがある……。世の中、禍福はあざなえる縄の如し……。

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『雑な読書』か『粋な読書』か、同じ読書でもちと違う?
(2017・4・6・木曜日)





古屋美登里氏の『雑な読書』 (シンコーミュージック・エンタテイメント)を読んだ。一日一冊本を読むために大学を休学しようと思い立ったこともあったそうな。結局大学に五年間いたという。ううむ…。僕も実は…。似たような学生生活を送っていた。
ただ、著者は、本書でも紹介しているような、比較的、高度な本を一日一冊読んで、こんなに立派な翻訳家にもなった(といえそうだ)。
こちらは… 『女教師』やら…。だから、一日一冊読んでも…。以前、上前淳一郎氏の『読むクスリ』の第何巻だったかで、入社してから、年間100冊本を読むサラリーマンなら、必ず会社の重役になれる…なんてエッセイがあったかと。それも実践したが……。やはり「ハイド本」を100冊ではダメで、「ジキル本」100冊ででないとダメなのか? 古屋さんの書名は『雑な読書』より『粋な読書』のほうがよかったのでばないかとも。

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本を読む人、本で考える人 本を作る人 本を売る人、本を積んどくする人……
(2017・4・4・火曜日)





河野通和氏の『言葉はこうして生き残った』 (ミシマ社)を読んだ。


内容紹介→いつの時代も、光は言葉にある。
膨大な書籍群の中に飛び込み、6年半かけて発見しつづけた、次代へつなげたい知と魂!
中央公論社で約30年、その後、新潮社で6年あまり。
出版文化の本流のなかで、編集者として、錚々たる著者陣、先輩編集者、
デザイナー、文化人たちとの仕事と交流を重ねてきた著者が紐解く、「言葉」の近現代。明治草創期に起こった出版という大河が、ここに!
300超のメルマガから厳選した、必読の37本を待望の書籍化。



休刊になった『考える人』の編集長のコラムエッセイをまとめた本。ジキル的書物などにまつわるエッセイ。コジンスキーの『異端の鳥』 (角川書店)なんて、僕が読んだ本も稀に出てくるけど?  本欄(拙文)とは少々異なるマジメな読書目録…。

関連暑として稲泉連氏の『「本をつくる」という仕事』 (筑摩書房)を読んだ。製本やら翻訳エージェントやら装幀やら「本をつくる」という仕事に関係する人たちへのインタビュー取材を通じての一冊。本が好きな人には、手頃な本。

とにもかくにも読みたい本が多々ある日本はいい国。真面目な本もあれば、柔らかい本もあるし。今夜、明日読む本がないなんてことで悩む心配はないから…。ありすぎて困る…ということはあっても……。

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